ラグビーワールドカップ

TBS系情報番組『サンデーモーニング』のコーナー「風をよむ」で今週扱われたテーマは、「差別や偏見」。ラグビー日本代表や大坂なおみ選手などの活躍を取り上げた上で、日本は外国人が活躍できる多様な社会に本当になっているのかと問いかけた。

■グローバル化が進む日本

ラグビーの場合、代表資格は、日本国籍がなくても3年以上継続して居住するなどの資格を満たせば得られる。今回は日本代表31人中15人が外国出身で、これは過去最多。

主将のリーチマイケル選手は、ニュージーランド出身で2013年に日本国籍を取得した。多様な選手たちからなる日本代表について、リーチマイケル選手は、

「日本がグローバルになりさまざまな文化が混ざっていく中、日本代表のチームワークを見ていろいろと感じてほしい」

と話す。

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■多様なスポーツで活躍

さまざまなルーツや背景を持った選手が活躍しているのは、ラグビー界だけではない。

テニス大坂なおみ選手(父:米国人/母:日本人)、アメリカプロバスケットボールの八村塁選手(父:ベナン人/母:日本人)、陸上のサニブラウン選手(父:ガーナ人/母:日本人)などの活躍に日本中が熱い声援を送っている。八村選手は、

「日本人とベナンハーフでずっとやってきて、日本でずっと育って、日本人として大きな舞台に立てるということで日本のことをしっかり見せないといけない」

と語る。

■「一方に迫ろうとする眼差し」も

スポーツ界のみならず、海外にルーツを持つ人々は数多くの分野で活躍している。そんな状況を、国士舘大学非常勤講師で社会学者の下地ローレンス吉孝氏(祖父がアメリカ人)は、

「スポーツ選手の活躍が華々しいので目立ってしまうけど、そういう人たちほんの一握り。日本人か外国人かどちらか一方に迫ろうとする周囲からの眼差しはまだまだ根強い。嫌なあだ名やいじめを経験する人もいる」

と述べた。

■急速に進む国際化

差別や偏見が、いまだに残る理由はなぜなのか。1991年には当時の外相だった渡辺美智雄氏が、「日本は単一民族」と発言し、記者から指摘を受けた。

下地氏は「歴史学では日本は決して単一民族とは言えないというのが、当然のように言われていて、朝鮮半島や中国からたくさんの人が来ていて、文化交流をしていた」と話す。

そして今や、日本で働く外国人の数は146万463人で過去最多(2018年10月末現在)。今年4月には外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が施行するなど、日本社会の国際化は急速に進みつつある。

■「ONE TEAM」は難しい?

今回のラグビー日本代表のスローガンは、「ONE TEAM」。この意味についてリーチマイケル選手は、「同じ目標に向かって一人一人努力すること」と語る。

司会の関口宏は「世界中がONE TEAMになってしまえばいいのにな。そんな簡単なことではないのかもしれないけど」と発言。

これに対して、コメンテーターの松原耕二氏は、「難民の受け入れに消極的で抑圧的。政治と行政の意識が国民に比べて遅れており、日本ではラグビー型の社会は難しい」と吐き捨てた。

しかし視聴者からは、結局は政権批判に落ち着いてしまう構成に対して、「ラグビー日本代表を、番組にいいように利用しないで」といった声も目立っていた。

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(文/しらべぇ編集部・おのっち

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