◆駅のホームで「一歩踏み出せば会社に行かずにすむ」

 ブラックな労働環境で退職や転職の選択もできず、うつ病を深刻化させて最悪、自殺に至る人は一定数いる。自身の経験をもとに、過労自殺へと至る心理状態を描いた漫画が、汐街コナ氏の『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』だ。同書には似た状況にある人から「これは私のことだ」という共感の声が多く届き、12万部超のヒットとなった。汐街氏はどのような経験をしたのか。

「私は月90~100時間ほど残業をしていた時期、駅のホームで『今一歩踏み出せば、明日は会社に行かなくてよい』という考えが頭をよぎったんです。その瞬間は、それが自殺という行動だとも気づかず、『いいこと思いついちゃった』とウキウキした気分ですらありました」

 その体験から気づいたのは、「人は疲労がピークに達して極端に判断力が落ちると、現状がおかしいことに気づけず、死を考えないまま死に至る行動をとりかねない」ということだった。また過労で追い詰められた人の中には「価値基準が他者にある」「自己肯定感が低い」などの特徴がある人も比較的多いのではないか……との指摘も。

「『他人に認められないと自分に価値はない』と考えていると、常に人の顔色を窺って、自分を犠牲にしがちになる。不当な扱いを受けても、『自分の能力や努力が足りないせい』と受け入れてしまうこともあります」

 一方で、そのような心理的傾向がある人以外でも、うつ病を患い自殺に至るケースはある。

「私の周囲では、体育会系の明るく豪快な人がうつ病を患い、あっという間に自殺されたこともありました。どんな人でも、環境や状況によって心が折れてしまうことはあると思います」

 仕事はキツいけど、自殺なんて考えたこともないし、性格的にも自分は平気。そう考えてつらい現状をやり過ごしている人こそ、今一度注意をすべきだ。

【汐街コナ氏】
イラストレーター漫画家。過労自殺しかけた経験をもとにした漫画で話題に。新刊は脱プチ依存を描いた『ずっとやめたかったこと、こうしてやめられました。』

<文/週刊SPA!編集部>

―[[突然うつ]の恐怖]―


『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』(汐街コナ著 ゆうきゆう監修 あさ出版)より