昔に比べればましになったというけれど……

大阪市長橋下徹氏が10月6日の『林先生が驚く初耳学!』(MBS系)で、高学歴ニートを相手に熱弁を振るった。橋下氏は働くことにネガティブな姿勢を見せる高学歴ニートに対し、「フラフラするなら一生懸命やれ」と働かないことは肯定しつつも惰性を貪る生き方をしないでほしいという。

「自分の人生に納得している人と納得していない人の違いは、自分の持っているエネルギーを完全燃焼しているかどうか」

エネルギーを完全燃焼するための方法として、35歳までの間に自分が情熱を注げ能力を発揮できる場所に身を置くことだと話す。そして、その場所に入るためのチャンスを掴むためには、ガムシャラに行動するしかないと語気を強めた。(文:石川祐介)

「労働環境に制度として欠陥があることは間違いない」

早稲田大卒の24歳の男性は、今の日本社会は雇用の流動性がなく、就職氷河期世代が就職できないなど、チャンスは平等に与えられていないと不満を口にする。こうした状況は団塊の世代に原因がある、と指摘した。

これに橋下氏は「労働環境に制度として欠陥があることは間違いない」と理解を示すが、

「昔は労働基準法なんて無くて、敗戦直後の日本は超ブラック企業だらけだった。歯を食いしばってここまでたどり着いた。前の世代の人達には『ここまで持ってきてくれてありがとう』という気持ちがあっても良いんじゃないの?」

今日に至るまで、多くの労働環境の問題は改善されてきたのだから、その働きかけをしてきた上の世代に対するリスペクトを少しは持ってほしいと語った。

「戦後直後の日本と比べても意味ない」と反発の声も……

その上で、世の中との向き合い方も語る。

「日本では治められる者が治める者を選んでいる。『社会構造がおかしい』と言うのなら、治められる側にも責任がある」

国民が選んだ人達が現状の労働環境を作っているので、そこに不満があるのなら選挙に行って社会を変えるべきだという橋下氏。

ただ、東大卒の25歳の男性は、高齢者の人口が圧倒的に多いため、政治家は高齢者を優遇する政策ばかりを掲げるており、「若者がこの人に投票したい」と思える政治家がいないと反論する。

「高齢者の皆さんは選挙期間中、ものすごい選挙運動やってるよ? 自治体や各種業界団体を走り回って、知り合いに声をかけまくってものすごい汗をかいている。若者は選挙の時どうしてるの? 投票にも行かずにコンパやってるんじゃないの?」

汗もかかずに政治の利益を受けようというのは無理な考えだと一蹴し、「若い人達に『自分たちの利益を守っていこうよ』って声をかけて燃焼したら良いじゃん」と若者の投票率を上げるために活動をすれば良いと語った。

ネット上には「橋下さんの授業良かった。響いたし、頷きまくった」と賛同の声が多く寄せられた。しかし、「戦後直後の日本と比べても意味ない」「高学歴ニートの人だって投票に行ってる人いるだろう。話をずらして誤魔化さないでくれ」と橋下氏の主張に首を傾げる人もいた。

橋下氏の言っていることの善し悪しは置いておいて、選挙の大切さを感じさせる内容だったのは間違いない。