東芝は、鉄道会社むけ列車遅延リスク評価アルゴリズムを新たに開発。

今回の新開発 列車遅延リスク評価アルゴリズムは、大規模・過密な鉄道ダイヤのすべての列車の遅延確率を高速かつ正確に算出できる。

従来のモデルは、遅延シナリオを想定し、シミュレーションを複数回繰り返して2次遅延評価を行う技術が主流だった。

いっぽうで、突発的に発生する大きな2次遅延を正確に評価するには膨大なシミュレーションが求められ、鉄道会社に膨大な時間と費用負担がかかっていた。

たとえば、0.01%の確率で発生する事象の再現には、少なくとも数万回程度のモンテカルロシミュレーション(乱数を与えて出力値を観測する手法)が必要だった。

こうした背景から、東芝は、膨大なシミュレーションをせずとも高速かつ正確に列車の遅延確率を算出できる列車遅延リスク評価アルゴリズムを開発。

同アルゴリズムは、実際の運行パターンやダイヤの発着時刻の情報をもとに、確率伝搬モデルを作成。

確率伝搬モデルは、各列車の発・着・通過の事象と、その間の遅延の波及関係をネットワークで表し、各駅の2次遅延確率をネットワークに沿って計算するモデル。実際の運行実績を学習させることで2次遅延確率の計算精度を向上させられる。

また、2次遅延確率の値を、確率伝搬モデルに基づく数式から導くため、モンテカルロシミュレーションで必要とされる膨大なシミュレーションを行わず、2次遅延確率を計算できる。

この東芝製新型アルゴリズムを用いることで、実際のダイヤをはじめ、さまざまなダイヤ候補ごとに、各列車の各駅での2次遅延確率や遅延時間を見積もり、列車遅延リスクを高速かつ適切に評価。

列車遅延リスクを織り込んだダイヤを作成することで、ダイヤの乱れの削減が期待できる。

同技術は、東芝デジタル&コンサルティングが英国で展開するコンサルティング事業に2019年9月、採用された。

写真 記事:鉄道チャンネル編集部