香港の12大学の学生会は6日、「覆面禁止法」の施行を受け、「自由を与えてくれ。でなければ死を与えよ(Give me liberty, or give me death)」と題する共同声明を発表し、香港政府と中国共産党政権が香港の法治を破壊していると非難した。

香港中文大学、香港科技大学、香港理工大学など12校の学生会は、「香港『基本法(憲法に相当)』に基づいては、行政長官は直接立法する権限を持っておらず、非常事態を宣言することもできない」と指摘し、「中国共産党に支配された香港政府が『緊急状況規制条例(緊急条例)』を発動することは憲法違法に当たる」とした。

声明は、今後、林鄭月娥当局は、外出禁止令、通信や集会の権利規制、市民の資産没収などの行政命令を次々と施行し、香港市民の自由を奪っていく恐れがあるとの認識を示した。

緊急条例は英国統治下の1922年に制定された。1967年中国共産党支持者による大規模な暴動を鎮圧するために初めて発動された。今回が2回目。

12校の学生会は、「覆面禁止法」の実施は「香港は中国共産党による全体主義の統治下に置かれ、香港の法治が跡形もなく消えたことを意味する」と糾弾した。

各学生会は声明の最後に、「自由を与えてくれ。でなければ死を与えよ」と強調し、香港の若い世代は「暴政に屈服することなく、自由を手に入れるまで命を懸けて抗争していく」と締めくくった。

香港島や九龍地区などで、5日と6日にそれぞれ大規模な抗議デモが行われた。多くの市民はあえてマスクを着用して、同禁止法への反対を訴えた。警察当局は催涙弾などを使って強制排除した。

「中国当局に最大限の制裁を」

一方、米中国語メディア「新唐人テレビ」のコメンテーター、蕭茗氏によると、香港の若者は国際社会に対して、中国当局および香港政府へのさらなる制裁を求めている。

蕭氏は9月23日YouTubeで、香港の大学・学術界国際事務代表団スポークスマンを務める張崑陽氏へのインタビューを紹介した。張氏は9月17日、香港民主化活動家の黄之鋒(ジョシュアウォン)氏らと、米議会で「香港人権・民主主義法案」の早期通過を求め、中国当局に圧力をかけるよう呼び掛けた。

張崑陽氏は蕭茗氏の取材に対して、米側の「香港人権・民主主義法案」は「当局に直接的なダメージを与えられない。中国当局にとって最も殺傷力があるのは『米国・香港政策法』だ。これによって、米政府は香港への優遇措置を撤廃することになる」と述べた。

張氏らはすでに米議会の大物議員らと香港への優遇措置撤廃について意見交換をしたと言及した。「この決定権は、われわれ香港人にある。われわれが米議会に求める場合、米側は真剣に考えてくれるだろう」

米議会が香港を優遇対象から外す場合、香港経済は大打撃を受ける。これについて、張崑陽氏は「優遇措置を受けている香港は、中国共産党にとって『金の卵を産む鶏』のような存在だ。当局は、国際金融センターである香港を通して莫大な富を手に入れてきた」と指摘した。「しかし、中国当局が香港市民の民主化の要求に応じず、自由・民主を失えば香港は滅亡するしかない」

「米の厳しい制裁で香港経済が崩壊する可能性があるが、この金の卵を産む香港を絶対に中国共産党には渡したくないと多くの市民が考えている。香港に自由がないなら、中国共産党と共に滅亡した方がましだと皆思っている」

「香港の未来は、われわれが切り開かなければならない。若者はすでに、死も厭わない決意を持っている。米国と国際社会が今できることは、今後、抗議活動の激化に伴う香港での死傷者の減少に努めることだ」

ナンシー・ペロシ米下院議長は、香港の覆面禁止法の実施を受けて、ツイッターで「香港における言論の自由への不安を強めただけだ」と覆面禁止法の施行を非難した。

マルコ・ルビオ米上院議員もツイッターで、「香港政府が、香港の国際金融センターの地位を保持したいなら、まず優先順位を付けた方がよさそうだ」と釘を刺した。

ルビオ議員は「香港人権・民主主義法案」の発案者の1人だ。

(翻訳編集・張哲)

10月6日、香港市民は雨の中、抗議デモを行い「覆面禁止法」への反対を訴えた(余天佑/大紀元)