Point
■土星周囲に新たな衛星が20個発見され、木星の衛星数79個を上回る82個となった
■現在のところ、土星が太陽系内で最も多くの衛星を持っている惑星となった
■土星の衛星は、形成段階にある土星の周囲に存在した巨大なガス雲によって、飛来しているところを捕まった
カーネギー研究所(Carnegie Institution for Science)の観測チームにより、土星の周囲を公転する20個の衛星が新たに発見されました。
これで土星の持つ衛星は合計82個となり、太陽系内の首位を独走していた木星の79個を上回ることに成功しています。
研究主任のスコット・シェファード氏によると、20個の衛星はどれも直径5kmほどの小さなサイズで、内3つは土星の自転方向と同じ向きに、残りの17個は逆向きに公転しているとのことです。
衛星は雲のネットに捕まった?
衛星の公転軌道を分析することで、それらが現在の状態に落ち着いた秘密も明らかにされています。
原則として、太陽系にある現在の惑星では、その側を小惑星が通っても捕まえることはできません。なぜなら、形成の完了した惑星には、小惑星の飛翔スピードを減速させて、自らの衛星とする力(物質)がないからです。
ところが、太陽系のまだ幼かった頃は、だいぶ事情が違ってきます。
太陽系初期において土星が形成途中だったころ、その周囲には膨大なチリやガスが漂い、厚い雲を形作っていました。これが土星の周囲を囲んでおり、小惑星が通ると、雲の巣に引っかかったハエのように捕まえてしまうのです。
その後、主星である土星の重力によって、周囲を公転する衛星の仲間入りを果たすことになりました。衛星によって公転方向が異なるのは、飛んできた方向がそれぞれ違うからだと考えられます。
衛星たちの「名前」求ム!
土星の衛星探索には、ハワイの観測所にある「すばる望遠鏡」が使用されました。
研究チームは、2004年から2007年の間にいくつかの奇妙な光源を見つけていたのですが、それが衛星であることを証明するにはかなり時間を要しています。
シェファード氏は「最新のコンピューター・アルゴリズムを用いることでやっと、光源が描く公転軌道の全体像を特定することに成功した」と話します。
現在のところ、20個ある衛星の名前はまだ1つも決まっていないとのことです。そのため、研究チームは12月6日までのおよそ2ヶ月にわたって、一般公募を行なっています。
良い名前が思いついた方は、ぜひ応募してみて下さい。詳しくはこちらから。
見事、木星の衛星数を抜いて1位に躍り出た土星ですが、まだまだ油断ができない状態です。
近年、進化し続ける望遠鏡を駆使すれば、木星の周囲に再び多くの衛星が見つかるのも時間の問題。注目のデッドヒートに、今後もまだまだ目が離せません。
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