新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、AIチップ開発加速のためのイノベーション推進事業を進めている。今回、産業技術総合研究所東京大学と共同で、東京大学浅野キャンパス(東京都文京区)内に「AIチップ設計拠点」の整備を進め、10月7日に中小・ベンチャー企業向けに試験運用を開始した。

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 ビッグデータから生活に新たな価値を創造するための鍵となる技術としてAI技術が注目されている。しかし、AI技術の根幹をなす半導体集積回路の微細化が物理的な限界に近づいており、エネルギー消費の増大が大きな課題となっている。こうした背景から、世界的にAIチップの開発競争が激化している。

 国内では、多くの中小・ベンチャー企業などが台頭し、AIチップの開発に取り組んでいる。しかし、AIチップの開発には、EDAツールハードウェアエミュレーター(H/Wエミュレーター)、標準IPコアなどが必要で、中小・ベンチャー企業にとってAIチップの研究開発の壁になっている。

 NEDOなどは、東京大学浅野キャンパス内の武田先端知ビルに「AIチップ設計拠点」を設け、AIチップ設計に必要なEDAツールやH/Wエミュレーター、標準IPコアなどを用意し、AIチップの設計環境を整える。さらに、これらを活用する設計フローなど、AIチップ設計のための共通基盤技術の開発、知見・ノウハウの蓄積や人材育成なども進めていく。

 なお、10月15日から18日までに開催する「CEATEC 2019」のNEDOブースで、本「AIチップ設計拠点」の紹介、デモンストレーションを実施する。今後、中小・ベンチャー企業などの本施設の活用に関するフィードバックを基に、さらに使いやすいAIチップ設計拠点として整備していく。

AIチップ設計拠点を東大内に設置