20110508iitatesoncho.jpg 福島第1原発の事故で「計画的避難区域」に指定された福島県飯舘村は2011年5月8日、週内に一部世帯から計画避難を始めることを決めたが、菅野典雄村長は5月下旬をめどに全村避難を求められていることについて、月内の全村避難は「まず無理だ」との認識を示した。

 飯舘村は先月22日、「計画的避難区域」に指定された。「計画的避難区域」に指定された地域の住民は、原子力災害対策特別措置法に基づき、別の地域へ避難することが求められる。概ね1ヶ月を目途に実施されることになるが、菅野村長は避難時期が迫っていることについて、月内の避難は「無理だと思う」と話した。通勤や介護などを理由に、分散して避難せざるを得なくなる家族が相次いでおり、避難先の確保が困難になっていることや、高齢者の健康上のリスクなどが原因。

 国が全村避難を要望していることに対して菅野村長は「全村民の避難はゴーストタウンになる。そういう形は村民のためにならない。ある程度村の動きを維持しながら、みんなで避難するという仕組みが大切」と述べた。さらに「国の方が(村民の)生活の実態を知ったうえで政策方針を出していただかないとそう簡単ではない。計画的避難の中身を考えてほしい」と訴えた。

■進まぬ補償問題 いらだつ村民

20110509satou.jpg 避難が順調に進んでない原因の一つに福島第1原発事故で生じた経済的被害への補償問題がある。飯舘村の主要作物は米、畜産、たばこ、野菜など。豊かな高原で育った和牛は「飯館牛」のブランドで知られる。放射能汚染による農産物への風評被害や米の作付け制限などにより、飯舘村の農家には損害が出始めている。しかし、これまでのところ国から具体的な方法は提示されておらず、飯舘村の農業従事者らは不安を抱えている。

 畜産農家の佐藤隆一さんは「牛を置いてどこにいけばいいのか。補償されないうちには避難しようがない」と怒りをあらわにした。水稲農家の目黒明さんは、「避難期間や補償を具体的に示してくれればまだ我慢できるのに、ただ『避難しろ』では」と不安を口にした。農業従事者の伊藤延由さんは「百姓にとって、作付け制限をされ、『出ていけ』と言われたら、それは死ねと言われていること。補償についても具体的な説明はなく、不安でいっぱい」と訴えた。菅野村長は補償問題の進捗状況について「ぜんぜん進んでない」と話した。


(三好尚紀、水田昌男)

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