「名前を見なくても誰が指したかわかる」。将棋界ではこのような言葉がオリジナリティあふれる将棋への賛辞として使われます。そして、この賛辞を最も多く受けてきた棋士の一人が佐藤康光九段です。
○佐藤九段が久保九段を破りベスト8進出 第45期棋王戦

佐藤九段はタイトル獲得13期、永世棋聖の資格を持つ大棋士。若手時代は類型の多い定跡形を主戦場とし、その深い研究は「緻密流」と称されました。それが羽生善治九段らとのタイトル戦を重ねていくうちに徐々にスタイルが変わっていき、ダイレクト向かい飛車などの定跡化されていない未開の将棋を多く指すようになりました。

天衣無縫」。それが現在の佐藤将棋を表す言葉であり、佐藤九段自身も好んでこの言葉を揮毫しています。10月8日、東京「将棋会館」で行われた第45期棋王戦挑戦者決定トーナメント(主催:共同通信社)でも佐藤九段は久保利明九段相手にその奔放さを遺憾なく発揮し勝利。ベスト8進出を果たしました。

久保九段が得意の四間飛車から立石流というやや珍しい構えをとると、佐藤九段は天守閣美濃と呼ばれる、こちらもあまり見られない囲いを構築します。さらに棒金戦法という現在のプロ間ではめったにみられない攻撃陣形を敷きました。守備陣と攻撃陣が左右で大きく離れる形になるため、よほどの力がないと空中分解してしまいますが、そこは佐藤九段。読みの力を武器に見事にまとめあげ、気づいてみれば全軍躍動しての勝利となりました。

日本将棋連盟会長として忙しい日々を送る佐藤九段ですが、プレイヤーとしても第一線で活躍しています。佐藤九段の自由奔放な将棋をまたタイトル戦でみたいというファンは多いはずです。
(将棋情報局)

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