神戸市立東須磨小学校の教員ハラスメント問題で、仁王美貴校長(55)らが会見して、今春退任した前校長を含めた構造的ないじめの実態があったことが浮き彫りになった。

しかし、前校長や加害教員4人が表に出て釈明するような動きはない。このままでは、真相の多くが解明されない恐れもあるが、加害者らが刑事罰に問われるようになれば、事態は変わるのだろうか。

前校長もパワハラ行為をしていたとの報道も

「教員として、人として許されるべきではなく、東須磨小の子供の前では今後、指導させない」。2019年10月9日夕に神戸市役所で会見した仁王校長は、時折涙を見せながら、こう言い切った。

この日の会見は、市教委幹部2人も同席し、パワハラセクハラ、そして暴行に至るまで、1年以上続いたいじめの構図の一端が明らかにされた。

前校長は、加害者の30代男性教員2人と親しい関係にあり、18年に被害者の20代男性教諭が相談してきても、前校長は、市教委に報告しなかった。各小学校では、校長がお気に入りの教員を連れてくる「神戸方式」が慣例化しており、加害者の40代女性教員は、その方式による赴任だったという。

さらに、神戸新聞などの報道によると、前校長自身もパワハラ行為をしていたとの相談が市教委に寄せられていた。被害者に自分の言うことを聞くように脅し、相当量の仕事を押し付けて、できないと恫喝していたともいう。

市教委では、前校長に聞き取り調査を行っており、前校長は、「認識が甘かった」などと話したと報じられている。

19年4月に着任した仁王校長も、「隠すつもりは一切なかった」と会見で説明したが、市教委への報告で、被害者の尻にみみず腫れができたことなどの中身をしっかりと伝えなかったことは認めた。

「前校長らが共犯に問われることは難しい」

仁王校長らの会見がテレビなどで伝えられると、ニュースサイトコメント欄やツイッター上などでは、組織ぐるみとも思えるような実態に厳しい声が相次いだ。

「4人の主犯と前校長に厳罰を!」「『全ての子供達の前に二度と立たせない』が正解」「情報公開の観点から氏名を公表すべきだ」といった声だ。

神戸市教委側は、10月9日の会見で、加害者4人には教壇に立てるのかと厳しい意見が多く、それを踏まえて今後の処分などの対応をしたいと明らかにした。

被害者や市教委は、刑事告訴を検討していると報じられているが、法廷で、その名前とともに真相もあぶり出されることはあるのか。

元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は10日、激辛カレーを無理に食べさせるなどのビデオや写真の証拠があることから、「検察が起訴すれば、加害者4人を有罪にできるとは思います」とJ-CASTニュースの取材に話した。

「暴行や傷害は最低限問われ、ほかに強要、名誉棄損、侮辱などの罪が考えられます。4人が事実関係を認めて、反省したり辞職したりすれば、書類送検になると思いますが、居座ったり一部否認したりすれば、主犯格は逮捕もありえます。起訴されれば、最低で罰金刑にはなると思います。執行猶予が付いた懲役刑の可能性はありますが、恐らく初犯ですので、実刑は難しいでしょう」

ただ、現校長や前校長が共犯に問われることは難しいと若狭氏は言う。

「今回の問題は、消防士が火を点けたり、警察官が泥棒したりするような悪質なものです。いじめ行為が、仲間を募り、児童をそそのかして被害者をつぶそうとするほどエスカレートしたということですから、校長は、いじめを把握しないといけないわけで、その管理能力は厳しく問われると思います」

J-CASTニュース編集部 野口博之)

加害教員4人は今後どうなるのか(写真はイメージ)