人前で話すことも笑うことも苦手な青年が、ラッパーを目指す姿を描く10月11日(金)公開の映画「WALKING MAN」。
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貧困の母子家庭で育った吃音症の主人公・アトム(野村周平)が、偶然出会ったラップに魅了され、逆境にめげずに夢へと向かっていく青春ストーリーだ。
監督を務めるのはラッパーのANARCHY。初の監督作となった本作で、主題歌や劇中歌も手掛けている。
今回、アトムの妹で高校生のウランを演じている優希美青にインタビューを実施。撮影の舞台裏を語ってもらった。
■ “ウラン”は兄・アトム同様、不器用なところがあるキャラクター
――アトムとウランの母親が事故で重傷を負ってから、2人には厳しい現実が次々と降りかかり、序盤は悲しいストーリーが続きます。台本を読んだ感想を教えてください。
すごく切ないし、重いお話だと思いました。でも、自分の意見をうまく言えず、夢もなくて、ただ今を生きることに精いっぱいだったアトムが、ラップに出会って前向きになっていく、夢を持って人が変わっていくところは本当にすてきだなと思いました。
――演じているウランはどういうキャラクターですか?
ウランはお金がないことで相当いろんなことを我慢してきたんですが、母親の意識がなくなってしまったことで、余計、今後の不安が大きくなったと思うんです。
危ないお仕事にも走ってしまうのですが、兄を頼れないことが分かって、自分で生きていかなきゃいけないと思ったと思うんですね。
お兄ちゃんはかなり不器用な人ですが、ウランもウランで不器用なところがあるんですよね。本当はそこまでお兄ちゃんをうざったいって思ってないはずなのに、友達の前では恥ずかしくて、お兄ちゃんにひどいことを言う場面があるんですが、そういう考え方をしてほしくないなって思っていました。
――演じる上で意識したことは何ですか?
ウランはウランなりに、いろいろつらいことがあったと思うんですよ。学校で貧乏って言われるとか。
そういう背景を想像しながら、無理にでもお母さんの前では自分が悩んでいることを感じさせないように明るく振る舞っているんですが、お兄ちゃんには本音をぶつけちゃう。そのメリハリを大事にしました。
――優希さんは兄弟がいらっしゃいますか? 役作りで兄弟との関係をどう考えましたか?
弟がいます。年上の兄弟がいる感覚が分からなかったので、いつも弟が私にしてることって何だろう?って考えたら、私も反抗期の弟から結構「ウザイ」とか「キモイ」とか言われてるから、そういうことか! って思って(笑)。
年下からしたら、たぶんお兄ちゃんお姉ちゃんばっかり構われてずるい、いろいろ許されてずるい、とか、そういう気持ちがあると思うので、そういうことなのかなと思いながら。
でも、上からしたら弟とか妹の方がかわいがられてると思うので、お互いさまなんですけどね。
■ 周平さんは、普段から本当のお兄ちゃんみたい
――野村さんとの共演について教えてください。
周平さんは映画「ちはやふる-結び-」(2017年)で一緒だったので、普段から本当にお兄ちゃんみたいです。「困ったときには頼ってね」って感じの人なので、信頼できるお兄ちゃんみたいな存在なのに、お芝居の中では冷たいことばっかり言ってごめんなさいって思ってます(笑)。
――野村さんとアトムには、かなりのギャップがあるようですね。
アトムはほとんどしゃべらない役だから、リハーサルとか段取りの最後に、しゃべりたくてアドリブ入れてきたりするんですよ(笑)。それに返すのがすごく楽しかったです。もちろん映像には入らないんですが…。
普段、結構しゃべるタイプだから、しゃべらない役でしゃべりたかったんだろうなって思いました。休憩中もずっとしゃべっていましたし。周平さんは監督とすごく仲いいんですよ。
監督が「じゃあ周平に任せた」って周平さんに言っている場面も多くて、監督と役者以上というか、すごく強い信頼関係があるんだろうなという感じでした。
――優希さんも監督から絶賛されたそうですが、監督とはどんなお話をしましたか?
監督は「美青ちゃんが思うウランをやっていいよ」って言ってくれたんです。私のことも信頼してくれたみたいで、すごくうれしかったです。
だから、監督が大事にしたいというシーンは、期待に応えなきゃって思って何回も台本を読んで考えてました。
特に橋の上でウランとアトムがお互いの思いを伝え合うシーンなのですが、撮影日は相当プレッシャーでした。しかも、クランクアップの日で、最後の撮影だし、私のせいで予定より長引いたらどうしようって。
そのシーンの中に、ウランが川に向かって携帯を投げるカットがあるんですけど、撮影の関係で投げるチャンスが2回しかなかったんです。結局、1回目では納得できなくて、「もう1回やりたいです」って監督に言って、やらせていただきました。もうこれで終わりだと思うと余計に緊張したんですが、何とか頑張りました。
■ 「とりあえず歩くか」で意外と3時間も外に…
――ラップは好きですか?
今までは聴いたことなかったんですが、ANARCHYさんとご一緒させていただくので、ANARCHYさんの曲を聴きました。
歌詞がすごくストレートで、つらいこととか嫌だったことをストレートに書きつづっている感じがすごく胸に刺さりました。
最近は、直接言わないというか、解釈が必要な表現がはやっている気がするんですが、ラップは本当にストレートなんですよ。その言葉がドーンってくるからすがすがしいです。
周平さんがラップをやっているシーンもすごくかっこ良かったです。
――タイトルの「WALKING MAN」にちなんで、歩くことは好きですか?
好きです。運動が苦手で走れないから、普段からなるべく二駅ぐらいは歩くようにしています。
この前も、目黒で仕事が終わって、渋谷で友達と会う約束があったんですが、時間があるから歩いちゃえって思って歩きました。
散歩も好きです。家で“(名探偵)コナン”を読んでいて、疲れたな、肩こってきたなっていうときに、とりあえず歩くかって思って近所をぶらぶらしてると、意外と3時間ぐらい外にいたりします。
音楽を聴きながら、雑貨屋さんとか家具屋さんとかに立ち寄って歩いていると、友達から「今何してる?」って連絡きて、「今ちょうど外にいるよ」って言って合流することもあります。
■ これからはドラマも頑張っていきたい
――完成した映像を見ていかがでしたか?
今まで私が携わってきた作品の中で、一番かっこいいと思いました。始まり方も英語で名前が出て、エンドロールも新しいし、映像がおしゃれでかっこいいなっていう印象です。
ANARCHYさんらしい感性だなと。すごく重いストーリーですが、すごく見やすくなっていると思います。
――優希さんにとって、2019年は本作が4本目の映画作品となりますね。
去年から今年にかけて撮っていた作品が徐々に公開されて、皆さんの元に届いて、反応していただけることはすごくうれしいです。お休みをしていた時期もあるので、お仕事を再開できたのもすごくうれしいですし、お仕事はすごく楽しいです。
――今後の目標を教えてください。
今年は映画が多かったので、これからはドラマも頑張っていきたいです。映画には映画の良さがあって、ドラマにはドラマの良さがありますよね。
映画は結構、納得いくまで向き合えるところがありますが、ドラマは限られた時間の中で自分も監督も納得するお芝居をしなければいけないのがすごく難しいですし、台本も次から次へとくるので大変だと思います。
今までの映画で身に付けたスキルをドラマで生かしていけたらいいなと思います。
――演じたい役柄はありますか?
今までは私そのものというか、等身大の役が多かったんですね。おとなしい役とか高校生とか。そうじゃなくて、それこそ「死ねばいいのに」とか普段言えないことをお芝居の中で言うのがすごい楽しくて。悪役にはまりそうです(笑)。
あと、この作品で周平さんがラップをやっていたのがかっこ良くて、歌は楽しいなって思ったので、歌う役があったらやってみたいです。
――歌は好きなんですか?
歌うことは大好きで、カラオケもよくいきます。この間も4日連続でカラオケ行きました。
たまにマネジャーさんが付き合ってくれますが、だいたい1人で行きます。山口百恵さんとか中森明菜さんが好きでよく歌うんですが、なるべく最近の曲も覚えようと思って聴くようにしてます。
最近だと、My Hair is Badの「真赤」を覚えました。今の大学生はこういうの聴くんだーって(笑)。でも、聴いてみたらハマってます。
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