IMAX、ドルビー、THXって何が違うの? 映画の上映方式・音響システムまとめ

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3D上映にもいろんな方式がある

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すっかりおなじみとなった3D上映ですが、実は映画館によって3D上映の方式が異なります。現在、日本の映画館で採用されている主な方式は以下のようになっています。

IMAXデジタル3D
IMAX」は、カナダIMAX社が開発したフィルム規格です。70mmの高品質フィルムに高精細映像を記録するもので、IMAXデジタル3DはIMAX規格の美しい映像をデジタルで上映するシステム。リアルタイムで映像調整を行い、2台のプロジェクターを使って3D映像を上映します。

一般的な3D上映よりも高精細で明るめの映像が特徴です。専用の3D眼鏡は持ち帰り可能で、同じIMAXデジタル3Dであれば別の映画館でも使えます。

⇒参照:『ユナイテッド・シネマ』公式サイト「IMAXデジタルシアター」

●RealD 3D
アメリカのRealD社が開発した立体映像を上映するシステム。左右それぞれの3D用の映像を高速で交互に映写し、その映像を専用の3D眼鏡で見ることで3Dになります。

首をかしげて見ても3D映像が二重になったり、明るさが変わったりしにくいのが特徴。3D眼鏡が小さく軽いため見ていて疲れにくいという利点もあります。こちらも3D眼鏡は持ち帰り可能で、同じ上映方式なら使い回せます。

⇒参照:『イオンシネマ』公式サイト「デジタル3-Dシネマ」

●MasterImage 3D
韓国のMasterImage社が開発したデジタル3D上映システムです。RealD 3Dと同じ方式で3D映像を上映するもので、専用の3D眼鏡も小さく軽く、持ち帰り可能です。

RealD 3Dと同じ方式ではありますが、一応3D眼鏡は「MasterImage 3D専用」ですから、RealD 3Dの上映で同じようにきれいに見られるかどうかは保証外。使い分けることをお勧めします。

⇒参照:『イオンシネマ』公式サイト「デジタル3-Dシネマ
https://www.aeoncinema.com/3d/pc/

Sony Digital Cinema 3D
4K解像度のプロジェクターを使って、2K画質の左目用の映像と右目用の映像を同時に映写する方式。専用の3D眼鏡で見ることで3D映像になります。

左右それぞれの目用の映像を交互に映写するシステムよりもちらつきが少なく、きれいな映像が見られるのが特徴ちらつきが抑えられているので、長時間見ても疲れにくいのも魅力です。こちらも3D眼鏡は持ち帰れますが、専用眼鏡のため別の上映方式で使うことはできません。

⇒参照:『SONY』公式サイト「ソニーのデジタルシネマ」

●Dolby 3D
アメリカのDolby Laboratories社が開発した3D映像の上映方式。RGB(赤、緑、青)の色合いを左右で変えた映像を映写することで位相をずらし、3Dに見えるようにしています。

専用の3D眼鏡を用いる必要がありますが(基本は映画館で貸し出し)、他の3D上映方式より明るく色合いが美しい映像が特徴です。

⇒参照:『ドルビーラボラトリーズ』公式サイト「ドルビー3D」

●XpanD 3D
スロベニアのX6D社(現在はXPANDVISION社)が開発した3D上映システム。スクリーンに投影した左右それぞれの目用の映像を電子回路を内蔵した電子眼鏡で見ると、眼鏡が自動的に3Dに見えるように調節してくれるというもの。

映像が少し暗めなのと、3D眼鏡が大きく重いため、見ていて疲れやすいのがネック。また、3D眼鏡は高価なため貸し出し方式が一般的で、鑑賞する都度、眼鏡のレンタル料金が必要です。

⇒参照:『株式会社ジーベックス』「XPAND」


このように3D上映システムは幾つもあります。映画館によって用いられているシステムが異なっており、同じ系列のシネコンでも導入されている3D上映システムが違うということもあります。

3D眼鏡は基本的にその上映システムの「専用」なので、例えばRealD 3D用の3D眼鏡では、Sony Digital Cinema 3Dの映像を見ることができません。3D眼鏡を持参する際は、事前に上映方式を確認しておきましょう。

最新の上映システムは?

3D上映のほかにも、さまざまな上映方式が登場しています。

●ScreenX
3面のマルチスクリーンに映写するシステム。一般的な映画館は正面のスクリーンのみですが、ScreenXは左右の壁面にもワイドスクリーンを配しており、この3面に映像を映すことでより臨場感と没入感を高めます。

現在はユナイテッド・シネマの「アクアシティお台場」と「福岡ももち」、「シネマサンシャインかほく」、「シネマサンシャイン下関」の4つに導入されています。

⇒参照:『ユナイテッド・シネマ』公式サイト「ScreenX」

●ULTIRA
イオンシネマが展開している天井まで届く専用のシルバースクリーンに高品質な映像を映写するシステム。

正面の壁全てを覆うほどの巨大スクリーンに映写される大迫力の映像が魅力で、3D上映ではさらに迫力が増します。「イオンシネマ幕張新都心」など11劇場に導入されています。

⇒参照:『イオンシネマ』公式サイト「ULTIRA」

●TCX(TOHO CINEMAS EXTRA LARGE SCREEN)
TOHOシネマズが独自に導入している巨大スクリーンの名称。上下左右いっぱいに広がったスクリーンに大迫力の映像を映写します。

また、より映像に集中できるよう、床や壁、シートの色をダーク系に統一して光の反射を抑える工夫もされています。TOHOシネマズ日比谷、新宿など13劇場に導入されています。

⇒参照:『TOHOシネマズ』公式サイト「TCX TOHO CINEMAS EXTRA LARGE SCREEN」

4DX
韓国のCJ 4DPLEX社が開発した、座席が映像に合わせて動く体感型の上映システム。前後・上下・左右のモーションや、水が噴き出す演出や、風が吹き出す演出が起こります。全部で4つのグレードがあり、最高クラスの「プライム」では20種類もの特殊効果が楽しめます。3D上映ならより迫力が増すでしょう。

映画というよりもテーマパークのアトラクションといったほうがいいですね。ユナイテッド・シネマイオンシネマの劇場に導入されています。

⇒参照:『CJ 4DPLEX』公式サイト「4DX | 企業について」

●MediaMation MX4D
4DXと同じく座席が動く体感型の上映システム。アメリカのMediaMation社が開発したもので、国内では主にTOHOシネマズの劇場に導入されています。こちらは11種類の特殊効果が起こります。

4DXと比べて座席の振動が大きいのが特徴で、水の噴き出し方や風の吹き方、フラッシュの演出なども若干異なります。どちらも臨場感抜群ですから、好みのものを選ぶといいですね。

⇒参照:『TOHOシネマズ』公式サイト「MX4D」

Dolby Atmosって何?

TOHOシネマズイオンシネマに導入されている音響システムとして、「Dolby Atmos」があります。これはDolby Laboratories社の音響システムで、前後左右、天井にまで備え付けられたスピーカーによる臨場感のある音が楽しめるもの。

力強いサウンドが3D的に発せられるだけでなく、それぞれのスピーカーが異なる音を発することができるのも特徴。例えば、キャラクターが左から右に歩いた時の足音が、本当に目の前を左右に歩いているようにリアルに聞こえます。

⇒参照:『ドルビーラボラトリーズ』公式サイト「ドルビーアトモス」

また、イオンシネマなどの劇場で上映される作品で、THXシアター」という表記を見たことはないでしょうか? これはTHX認定を受けた劇場」という意味です。

THXはアメリカの音響技術を提供する企業の名前。音響のチェックと品質認定も行っており、合格したスクリーンがTHX認定を受けることができるのです。THXの規定は非常に厳しいため、認定を受けたスクリーンの音はまさに折り紙付き。現在はイオンシネマの全国8スクリーンがTHX認定になっています。

⇒参照:『イオンシネマ』公式サイト「THX」


映画の上映方式や、最近話題になっている「Dolby Atmos」と「THX」についてまとめてみました。3D上映の場合は、上映方式によって映画の見え方が大きく異なるので、その中から自分の好みのものを見つけるといいかもしれません。

また、ScreenXなど新時代の上映方式にも注目ですし、音にこだわる人はDolby Atmosを導入している劇場や、THX認定の劇場に足を運ぶのもいいですね。

(中田ボンベ@dcp)

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