全国の1型糖尿病患者・家族を支援する私たち認定NPO法人日本IDDMネットワーク(理事長 井上龍夫、本部 佐賀市)は、2019年9月16日(月)午前10時30分から大阪大学中之島センター佐治敬三メモリアルホールにて「第2回山田和彦賞授賞式および記念講演」を実施いたしました。
第2回目となる今回の受賞者は大阪大学免疫学フロンティア研究センター実験免疫学の坂口志文特任教授です。
当日は全国から約100名の参加があり、坂口志文特任教授には表彰状と賞金(1000万円)を授与し、続けて坂口教授による記念講演を行いました。記念講演では坂口教授が世界で初めて発見した、自己免疫疾患の主役である「制御性T細胞」の発見への研究過程とその意義、そして今後のこの分野の展望について説明されました。集まった患者・家族もこの研究成果により1型糖尿病の治療そして予防の実現可能性への大きな期待感を感じることができました。

左から山田典子様、坂口志文教授、日本IDDMネットワーク井上龍夫理事長、NPO法人 オール・アバウト・サイエンス・ジャパン代表理事


【山田和彦賞について】
「山田和彦賞」は日本IDDMネットワークが1型糖尿病患者である山田和彦様の遺産寄付(遺贈)を財源として創設しました。山田様は、他の人からの移植や機械に頼らず自分の体は自分の体の中で治ることを期待されていました。
第1回は2018年5月に山中伸弥京都大学iPS細胞研究所に贈られました。


【授賞式でのメッセージ】
・故山田和彦氏の姉の山田典子氏から

弟の発症は遅く19歳でした。そして54歳で亡くなりました。
メディアで1型糖尿病の悲惨さが紹介される度に「自分の遺産は1型糖尿病を研究してくれる機関に寄付する」というのが口癖でした。
弟の寄付金は研究費としてはわずかな額かも知れませんが気持ちだけはたくさん詰まっております。どうぞ、1型糖尿病を持ちながらも頑張っている多くの人達を助けてください。

・患者(子どもたち)からのメッセージ

患者を代表して、軽部愛史(まなみ)ちゃん(9歳)春木朝陽(あさひ)くん(10歳)から元気よく「坂口先生、おめでとうございます!私たちの1型糖尿病の克服を目指して頑張ってください。」とのメッセージと花束が贈られました。
1型糖尿病患児と坂口志文教授



【坂口志文教授の記念講演の概要】
坂口先生の講演は、自己免疫疾患を持つ人は人口の10人にひとりという人類にとっては大きな疾患であり、自己免疫疾患への治療は医学上の大きな課題であるとの指摘で始まりました。

体の免疫系(防御機構)の基本的な働きは「自己」と「非自己」を正しく見極めて、非自己を攻撃し、自己を守ることですが、その仕組みが長い間分かっていませんでした。この免疫作用の調節を担っているのが坂口先生によって発見された「制御性T細胞」です。

近年では「制御性T細胞」の異常は、自己免疫疾患の原因になることが分かってきています。このことは、「制御性T細胞」の働きを強めることで自己免疫疾患の治療や予防につながる可能性も示しています。

坂口先生は最後に、全ての人が持っている「制御性T細胞」を増やしたり減らしたり、あるいは強めたり弱めたりすることで将来、様々な病気の治療や予防ができるであろうと強調されました。そして1型糖尿病もこの観点の研究が進めば治療・予防はもちろん、すい臓や膵島移植治療での拒絶反応の阻止にもつながるであろうと結ばれ、会場は1型糖尿病根治への期待感に包まれました。
患者・家族の前で講演する大阪大学免疫学フロンティア研究センター実験免疫学の坂口志文特任教授


【1型糖尿病とは】
原因不明で突然、小児期に発症することが多く、現在の医学水準では発症すると生涯に渡って毎日4-5回の注射又はポンプによるインスリン補充がないと数日で死に至る難病。糖尿病患者の大半を占める生活習慣病と称される2型糖尿病に対し、国内での年間発症率は10万人当たり1-2人と希少な病であるため患者と家族の精神的、経済的負担は大きい。


【日本IDDMネットワークとは】
1型糖尿病患者・家族が中心となって運営する私たち日本IDDMネットワークは、インスリン補充が必須な患者とその家族一人ひとりが希望を持って生きられる社会を実現することを目指しています。その当面のゴールは、1型糖尿病を「治らない」病気から「治る」病気にすることですが、究極の目標は“1型糖尿病の根絶(=治療+根治+予防)”です。

【お問合せ】
名 称:認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク
所在地:〒840-0823 佐賀県佐賀市柳町4-13
電 話:0952-20-2062
Fax :020-4664-1804
E-mail:info@japan-iddm.net
WEB:https://japan-iddm.net/

配信元企業:特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク

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