j1

image credit:Pixabay

 アメリカでは、数千人もの受刑者が独房に何年も放り込まれている。その経験はトラウマとなり、釈放後の受刑者の心に暗い影を落としているようだ。

 社会復帰するときにもかなりの影響があるらしいのだが・・・一体どれほどのものなのだろうか?

 『JAMA Network Open』(10月4日付)に、それにまつわる研究が掲載されていた。

 正式名称・拘束室(restrictive housing)と呼ばれる部屋で少しでも過ごしたことのある受刑者はそうでない受刑者に比べて、死因を問わず「釈放されてから1年以内に死亡する確率」が有意に高いのだとか。

―あわせて読みたい―

パレスチナの囚人を助けた猫、イスラエル政府によって独房に入れられる
北欧の刑務所、それとも企業の職場?どちらが刑務所かを当てる画像クイズ
この世の地獄を体感できる、世にも過酷な世界10の刑務所
刑務所内を大改造。3部屋にキッチン・バスルーム完備。ブラジルの麻薬王の豪華すぎる隠し独房が公開される
攻撃性を抑制する効果があると世界の刑務所で採用されているピンク色の独房。受刑者は「屈辱的」と不満の声

拘束室で過ごした受刑者は死亡率も再収監率も高いことが判明

 米ノースカロライナ大学の研究グループは、州の公安局から提供された20002015年の受刑者のデータを分析。

 その結果、拘束室で過ごしたことのある受刑者は、釈放されてから1年以内に死ぬ確率がそうでない受刑者よりも24%高いことが明らかになった。

 死因別に見てみると、自殺で死ぬ確率が78%、他殺で死ぬ確率が54%高かった。

 そして釈放後2週間以内にオピオイド系麻薬の過剰摂取で死ぬ確率にいたっては、127%も高いという結果だった。これは特に白人に当てはまるという。

 さらに拘束室で14日以上過ごしていた場合、再収監される可能性が高まることまで判明している。

j2

image credit:Pixabay

周囲からの孤立など受刑者にストレスフルな状況がトラウマに


 この研究は、拘束室が社会復帰の段階での死亡を引き起こす「要因」である可能性を示してはいるが、その「理由」についてははっきりと述べていない。

 しかし拘束室に入れば、キングサイズベッド程度の広さしかない独房で1日22~24時間過ごすことになる。

 周囲からの孤立、感覚の遮断、体を動かせないなど、受刑者にとってはかなりストレスを受ける状況であろう。

 拘束室の受刑者にインタビューをした結果によれば、その間、妄想・幻覚・パニック発作・自殺衝動に襲われるらしい。

 また他人との付き合い方や自分が誰であるのかといったことまで忘れてしまうそうだ。

 現在、バージニア州の矯正局は、拘束室に600日以上閉じ込められたことがある男性から訴えられている。

 その男性は体重が13kg落ち、話すことができなくなり、自分の名前すらも思い出せなくなってしまったという。

j3

image credit:Pixabay

拷問とみなして完全に廃止するのかそれともあり方を見直すのか


 今アメリカではこうした拘束室のルールを見直そうという機運が高まっている。

 しかし、具体的な改正案についてはさまざまな意見がある。

 それを拷問とみなし完全に廃止すべきだという意見がある一方、より段階的なやり方や代替的なやり方が望ましいという意見もあり、見直し支持派の見解も一様ではない。

 2015年、国連は通称「マンデラ・ルール(被拘禁者処遇最低基準規則)」を承認。法的な拘束力はないが、何人たりとも独房に15日を超えて監禁されるべきではない旨が表明された。

 2019年7月の時点で、アメリカの8州で拘束室の利用に制限を加える規制が導入されている。

References:JAMA Network Open / Inverseなど / written by hiroching / edited by usagi

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52283428.html
 

こちらもオススメ!

―人類についての記事―

自閉症の少年が澄んだ声で歌う「ハレルヤ」。その美しい歌声がSNSで話題となり、人々の心を打つ(アイルランド)
失踪ミステリー。忽然と姿を消した人が最後に残した意味深な言葉
後ろから見た女性の髪形に大人ビジョンホルダーたちが激震
人間の胎児の手足にトカゲのような筋肉があることが3D撮像スキャンで明らかに(米研究)
家族や恋人、親友が罪を犯したとき、人は嘘をついてでもかばおうとする傾向があることが明らかに(米研究)

―知るの紹介記事―

アマゾンで、過去の記録を上回る高さ88.5メートルの巨木が発見される(ブラジル)
自ら葬儀場に出向き、遺族の悲しみを感じ取り、心を癒してくれる特別な能力のある猫(イギリス)
宇宙で育てる人工肉は本格的な肉。3Dプリンターを使って動物細胞を培養
イギリスにゾンビが大量発生。「世界ゾンビデー」が今年も開催。目的は貧困者を救うチャリティイベント(※本格ゾンビ注意)
仲間は1匹の犬だけ。30年にわたり砂漠地帯で洞窟を掘り続ける男性(アメリカ)
独房に監禁された受刑者は釈放後1年以内に死亡する確率がアップするという研究結果が報告される(米研究)