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あなたは何日間連続で徹夜できますか?人間が睡眠を取らずにに生存できる正確な時間は明らかになっていませんが、これまでに記録された最長記録は11日間です。

でも、睡眠の損失がもたらす影響は、それよりずっと前に現れはじめます。睡眠の背後にある真相と、睡眠を十分に取らないことであなたに訪れるかもしれない恐ろしい結末をお伝えします。

最適な睡眠時間とは?

アメリカ疾病予防管理センターは、年齢18〜60歳の成人に1日に少なくとも7時間の睡眠時間を確保することを推奨しています。最適な睡眠時間は年齢によって異なり、一般的には新生児や幼児はより長い睡眠時間を必要とし、大人になるにつれて必要な睡眠時間は減少すると言われています。

一方で、多くの人に睡眠不足が生じているのも事実。たとえば、米国に住む成人の約35%が十分な睡眠時間を確保できていません。

アメリカ疾病予防管理センターアドバイスどおりに考えるならば、成人が1日に17時間を超えて起きているなどもってのほかということになります。睡眠時間が不足すると、24時間以内にその副作用が生じはじめます。

人間はどのくらい眠らずにいられるのか?

世界でもっとも長く連続して眠らなかった記録を持つ人は、1964年当時、17歳高校生だったランディガードナー氏です。彼は、冬休み自由研究で「不眠マラソン」に挑戦することにしたのです。

左: ランディガードナー氏 / Credit: Elite Readers

彼が樹立した11日と25分、つまり264時間という世界最長記録は、現在もギネスブックに記録されています。この挑戦の直後には身体の異変を感じなかったガードナー氏でしたが、その後数年間にわたり不眠症で苦しむことになりました。

ガードナー氏の記録は、260時間というそれまでの世界記録を見事に打ち破りました。後者は、スタンフォード大学の睡眠学者ウィリアムデメント氏が1965年に発表した論文に記載されています。デメント氏は、ガードナー氏が断眠実験に挑んだ際、最後の3日間を彼と一緒に眠らずに過ごしました。

ガードナー氏は実験中、カフェインなどの興奮剤を一切摂取しませんでした。その代わり、周囲に人を置いて、眠ってしまわないように声を掛けてもらうようにしました。

24時間眠らないとどうなるの?

一晩くらいの徹夜は、それほど珍しいことではありません。仕事、勉強、子供の世話といったあらゆる理由で、私たちは24時間睡眠を取らないことがあります。一晩中起きていることは決して気持ちの良いものではありませんが、それだけで健康に致命的な悪影響が及ぶわけではありません。

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とはいえ、たった一晩の徹夜であっても身体に影響が生じることは確か。24時間起きつづけることを、血中アルコール濃度が0.1%に上昇することに例えられます。これは、日本の道路交通法で運転が認められている血中アルコール濃度0.03%を大きく上回る濃度です。

24時間眠らないで起きつづけた場合、眠気、イライラ、意思決定力や判断力の低下、認知の変化、記憶力の低下、視覚や聴覚の低下、反射神経の低下、筋肉の緊張が現れます。通常、これらの症状は睡眠を取れば解消します。

36時間眠らないとどうなるの?

24時間からさらに半日間睡眠を取らずにいると、身体の各所にさらなる影響が現れはじめます。睡眠と起床のサイクルによって調整されている、コルチゾール、インシュリン、成長ホルモンといったホルモンの分泌に支障が出るのです。

その結果、食欲、代謝、体温、気分、ストレスなどに変化が生じます。具体的には、極度の疲労感、ホルモンバランスの崩れ、やる気の低下、判断能力の極端な低下、推論能力の低下、注意散漫、言葉の選択やイントネーションの誤りといった発話障害などが見られるようになります。

48時間眠らないとどうなるの?

2日間連続で睡眠を取らなかった場合、ほとんどの人は起きていることがままならなくなります。

無意識に30秒間ほどの「マイクロ睡眠」を経験する人もいるかもしれません。マイクロ睡眠の間、脳は睡眠時に近い状態に陥ります。マイクロ睡眠の後は、頭が混乱し、自分がどこにいるのか一瞬分からなくなることもあります。

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48時間を超える不眠は、免疫システムにも支障をきたします。病気を防ぎ、攻撃を手伝う炎症マーカーが体中に蔓延しはじめます。

複数の研究で、睡眠不足ナチュラルキラー細胞の活動を低下させることが示されています。ナチュラルキラー細胞は、ウイルスや最近などの脅威に瞬時に反応する役割を担っています。

72時間眠らないとどうなるの?

3日間丸々眠らなかったとしたら、多くの人は強烈な睡眠欲から逃れることができなくなります。普通の人は、自力で起きていることができません。

思考力は極度に制限され、特にマルチタスクを行ったり、細かいことを記憶したり、注意を向けるといった実行機能が著しく損なわれます。この段階まで到達すると、単純なタスクを行うことさえ困難になります。

また、感情にも影響が出ます。イライラが募り、気分が落ち込み、不安や妄想を抱くようになります。

さらに睡眠不足は、他者の感情を処理することも難しくします。ある研究では、30時間睡眠を取らなかった被験者が、怒りや喜びを表す他者の表情を認識できにくくなったことが報告されています。

加えて、認知機能にも明らかな変化が現れるでしょう。中には、実際には存在しないものが見える幻覚を経験する人もいます。

食事や水分の摂取は睡眠に関係する?

睡眠を断つと、食欲や食の好みも変化します。睡眠不足が食欲の増大や、体重増加に繋がりやすい食品の嗜好に関連していることが、複数の研究で示されています。ですが、カロリーが高いばかりで他の栄養素をほとんど含まない食品をいくら摂取したところで、単に疲労が増すだけです。

健康的な食生活は、睡眠不足の悪影響を一定程度は相殺してくれますが、それにも限界があります。身体を大切に思うのであれば、ナッツ、カッテージチーズ、豆腐などの低脂肪高タンパクの食品を選びましょう。タンパク質とは言っても、脂肪分の多いステーキチーズは眠気をもたらすので避けた方が賢明です。

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また、水分不足も睡眠不足の悪影響をさらに悪化させ、ふらつきや集中力の低下を招く恐れがあります。食事だけでなく、十分な水分補給にも気を配ることが大切です。

睡眠不足が慢性化したらどうなるの?

日常的に十分な睡眠が取れない状態が続くと、慢性的な睡眠不足が生じます。それは、ごくたまに徹夜することとは異なり、連日での徹夜より一般的なものです。

多くの人は、いくら睡眠時間が確保できなかったとしても、1日に少なくとも2〜3時間は眠れるケースが多いでしょう。こうした状態を、部分断眠と呼びます。部分断眠は、短期的な健康リスクや長期的な合併症を引き起こします。

睡眠障害の背後には病気が隠れている?

中には、望まずして部分断眠に陥る人たちもいます。どんなに休みたくても、身体がそれを拒むのです。
典型的な例は、モルヴァン症候群と呼ばれるものです。この精神障害を患った人は、ほとんど眠ることができません。全身の痛みと不眠に加え、筋肉の痙攣、発汗、体重低下などの症状が見られます。
また、睡眠時無呼吸症候群も典型的な睡眠障害の1つです。この症状は、気道が塞がれることで、呼吸の流れが妨げられ、時には停止することで生じます。睡眠時無呼吸症候群を患った人は一晩に複数回目が覚め、深刻な睡眠不足に陥る可能性があります。

さらに、むずむず脚症候群は、脚の内部にむずむずするような異常感覚を生じ、常に脚を動かしたくなる疾患ですが、これも睡眠が妨げられる要因になっている場合もあります。この疾患は、中年女性に多く見られます。

睡眠の質を上げるためにできることは?

睡眠の質は量と同じくらい重要です。良質な睡眠衛生は、良質な睡眠を促します。特定の行動を心がけることで、睡眠の質と日中の注意力を向上させることが可能です。

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たとえば、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きることで、一貫した睡眠習慣を維持すること(休日かどうかに関係なく)、寝室にスマホコンピュータテレビなどの電子機器を持ち込まないことが効果的なのです。

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