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 世界最悪の原発事故の舞台となったチェルノブイリ原子力発電所4号炉の制御室が一般公開されたそうだ。

 興味があるのならあなたもそこを訪れて、人類史に刻まれた痛ましい事故の痕跡を確かめることができる。

 ただし、そこはいまだに放射線レベルが高く、防護服を着なければ入室することはできない。滞在できるのも5分間だけだ。

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Take a look inside radioactive ruins of Chernobyl’s reactor No. 4

チェルノブイリの観光地化が推進される

 2019年6月、放射線物質を封じ込めるために建設された巨大ドームの落成式に出席したウクライナウォロディミル・ゼレンスキー大統領によって、チェルノブイリを観光の目玉にする旨が正式に宣言された。

 チェルノブイリの一部は10年近く前から開放されており、じつはかなり前から観光スポットだった。今年5月にはその事故がアメリカのHBO局によってドラマ化。おかげで予約数が3割も伸びるなど、意外な人気観光スポットだ。

メルトダウンを起こした原子炉を操作していた制御室の公開

 だが、4号炉は閉鎖されたままで、一部の研究者や作業員以外は立ち入りが禁止されていた。しかしこのほど、怖いもの知らずのツーリスト向けに制御室が開放されたことを旅行代理店が確認した、とCNNは伝えている。

 爆発によって大きな被害を受けた制御室は、あのメルトダウンを起こした反応炉を操作していた場所で、その日いくつもの決断がなされた現場でもある。

 新しく作られたドームの内側にあるが、事故後、反応炉の放射線を遮るために作られた”石棺”の外にある、とTelegraphは伝えている。


Wish You Were Here? Tourists Can Now Visit Chernobyl Control Room

見学者は防護服の着用が必須。滞在時間は5分まで

 Ruptlyによると、制御室内の放射線は通常の4万倍であるとのこと。

 入室する際は防護服・ヘルメット・マスクを着用しなければならず、滞在できるのも5分間だけだ。さらに外に出たあとも被曝量の検査を受けなければならない。

 ちなみにこうした手続きはチェルノブイリの観光では普通のことだ。1日かけてまわるツアーでは出発時・途中・終了時に放射線のチェックポイントを通過することになっている。

 また、ツーリストが勝手に移動することは許されず、必ずツアーグループで行動しなければならない。それもこれも、放射性の危険が冗談などではないからだ。


inside Chernobyl ЧАЭС sarcophagus 2016 - reactor #4 control room and lead-lined corridors

機械の墓場など、事故の痕跡はほかにも

 チェルノブイリには、ほかにもまだ立ち入り禁止となっている地区がある。

 たとえば「機械の墓場」と呼ばれる場所には、事故後のチェルノブイリで使用され、放射性物質にまみれた作業車両がいく台も放置されており、まさに墓場のような趣がある。

 大量の放射線に被曝すると、体の組織が破壊され、急性の放射線症候群に見舞われるほか、がんのリスクも高まる。

 そのような厳然たる危険性がありながらも、ウクライナ政府はルールにしたがっている限り、ツーリストが訪れても大丈夫だと考えているようだ。

written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52283473.html
 

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