旭化成の吉野彰名誉フェローがノーベル化学賞を受賞した。日本は2001年以降、自然科学分野で18人のノーベル賞受賞者を輩出したことになる。中国メディアの今日頭条は10日付で、なぜ日本はこれだけ多くのノーベル賞を獲得できるのに「中国にはできないのか」と疑問を投げかける記事を掲載した。

 記事は、日本がノーベル賞受賞者を数多く輩出できる理由について、多くの中国メディアが「日本人のまじめで勤勉な性格」を主要な要因として指摘していると紹介。またこうした分析には「中国人は目先の利益に飛びつく性格」であるため、成果が出るかどうか分からない研究に腰を据えて取り組むことができず、ノーベル賞受賞者も量産できないという批判も言外に示されているとした。

 しかし記事は、日本人の保守的な性格は科学研究に役立つどころか逆にイノベーションを制約する作用があるとし、多くの中国メディアの見方に対して反論し、一国がノーベル賞受賞者を量産できるかどうかは民族の性格や国民性によって決まるのではなく、「その国の総合発展レベル」に依存していると主張した。

 この見方の根拠として、1901年から1950年の間にノーベル物理学賞を受賞した54名の内訳は、米国人が10名、インド人が1名、日本人が1名であり、その他はすべて当時世界経済の中心だった欧州の科学者だったと指摘。しかし、第二次世界大戦後、米国が世界のトップとなってからは米国がノーベル賞受賞者を量産し始め、また、日本も第二次大戦後に経済面で飛躍したことが21世紀に18名のノーベル賞受賞者を生み出す基礎となったと主張し、それゆえ経済発展を遂げた中国にもいずれ「ノーベル賞受賞者量産の波」が必ずやってくると論じた。

 中国の科学技術力が近年、急激に向上しているのは間違いない。ただ、中国が将来ノーベル賞受賞者を数多く輩出するためには知識だけを詰め込む教育を見直し、子どもたちに自由な発想で「考えさせる」ような教育の導入も必要なのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

日本人はノーベル賞を獲得できるのに「なぜ中国は受賞者の量産ができないのか」=中国メディア