―[言論ストロンスタイル]―


財務省は、「増税省」と名前を変えた方が良いかもしれない

 10月1日中華人民共和国の建国記念日に合わせて、とうとう消費増税10%が断行された。誰だ? こんなバカな増税をしたのは? しかし、更なる地獄の訪れは、これからだ。安心するには、まだ早すぎる。

 デフレ脱却もできていないのに、消費増税。バカとスパイの所業である。やらされた安倍晋三首相は前者だが、財務省は後者だ。

 今後、日本はどうなるのか? 考えても意味はない。財務省は10%では飽き足らず、「最低でも20%」が合言葉だと怪気炎を上げていると聞く。従順な国民に味を占めたのだ。

 だから、「どうなるか?」を考えても意味はない。「どうするか!」を考えなければならない。このまま唯々諾々と、死ぬまで無限大に増税されるのか。それとも、自分の運命を切り開くか。解は、増税により日本人を苦しめる勢力を打倒するしかないだろう。

 ならば、敵の正体を知り、倒す方法を考えねばならない。

 まず、デフレ下の増税を推進するのは誰か。財務省である。この連中は、「増税省」と名前を変えた方が良いかもしれないほど、病的なまでに増税を推進している。ただ、彼らを「経済学イロハもわからぬ学力不足」「病気」「外国の手先」と罵るのは簡単だ。では、バカや病気やスパイが、跋扈できるのはなぜか?

 原因は政治家にある。今の安倍首相は、財務省からしたら何も怖いところが無い、むしろ誰よりも好都合な傀儡だ。弱すぎる政権は、何もできない。一方で、強すぎる政権は、言うことを聞かない。だから、ほどほどの景気回復をさせつつ、強くなりすぎそうなら消費税を押し付ける。

 確かに政権発足当初の一年弱は、安倍首相も景気回復を軌道に乗せ、政権の勢いは絶好調だった。ところが、8%の消費増税を宣言した瞬間に大失速した。時の財務事務次官木下康司の大号令一下、政官財界に加え、マスコミや労働界までが増税の大合唱に加わり、その圧力に屈したのだ。それを見て、「安倍、与(くみ)しやすし」と見た勢力がいる。

財務省と本気で戦わないことで戦後最長政権となった安倍内閣

 たとえば、靖国神社参拝問題である。毎年、8月15日に首相が参拝するかどうかに内外の注目が集まり、国際的な政治問題と化していた。安倍内閣は当初、政治的に揉める8月15日を避け、春秋の例大祭に参拝することで決着を図ろうとしていた。政治問題化する以前の、靖国神社の伝統に戻ろうとしたのだ。

 ところが、安倍首相が8%増税に傾くと知るや、連立与党の山口那津男公明党代表は、例大祭に行かないよう牽制した。結果、その年の年末に参拝したが、それっきりだ。例大祭はおろか、その後は一度も安倍首相靖国神社に参拝していない。そら、舐められる。

 10%増税は二度も延期された。しかし、たかが延期である。その延期でも、安倍政権は振り回された。

 そして景気回復前の増税を、安倍首相は断行した。今の安倍首相は間違いなく、誰の意思でもなく、自分の意思で増税を決めたのだと思い込んでいるだろう。

 いじめられっ子が、自分をいじめられっ子だと認めたくないのと同じだ。自分は喧嘩に負けたんじゃない……自分はカツアゲされているんじゃない……自分は万引きをさせられているんじゃない……。イジメが深刻なのは、いじめっ子により悪事を強要されることである。悪事に加担した瞬間、いじめられっ子は、単なる被害者ではなくなる。

 なるほど安倍首相は戦後最長の政権となった。「一強」である。しかし、他がもっと弱いから、「一強」にさせてもらっているだけである。自民党反主流派の石破茂岸田文雄枝野幸男ら歴代野党第一党党首たち。自民党反主流派や野党には強いが、財務省には逆らえない。むしろ、自分より弱いものをイジメる時は陰湿で執拗になるのが、いじめられっ子の特徴だ。

 まともな国民ならば、「石破や枝野よりは、安倍の方がマシ」と判断するだろう。少なくとも、これまでの7年間は、そうだった。だから、何をやっても、増税を公約に掲げても選挙に負けない。ならば、無理をして景気回復をさせなくても、財務省が望む増税を行えばいい。

◆打倒安倍内閣に必要な三つの条件

 実際、財務省と本気で戦わないことによって、戦後最長政権となった。そんな安倍内閣は、もはや打倒すべき対象でしかない。どうやって? 三つの条件が必要である。

 第一は、カリスマ的なリーダーだ。と言っても、かつての小泉純一郎まで強くなくても良い。2年前の絶頂期の小池百合子で良い。なんなら、2009年自民党に対する不満が大爆発したような状況ならば、鳩山由紀夫でも構わない。ただし、本気で政権交代する意思のある党首で、まとまらなければならない。

 枝野幸男のような、野党第一党を心地よいと感じるような政治家には、ご退場願うしかない。連合会長の神津里季生あたりは、またぞろ旧民主勢力の結集を狙っているようだが、目指す理想そのものが間違っている。数は必要だが、政権交代する意思のない野党結集など、安倍自民党の補完勢力に他ならない。必要なのは、安倍自民党内閣への「殺意」だ。

 第二は、政策の合意である。反自民勢力の旗印は、景気回復以外に無い。消費増税の誤りは明らかになった。ならば消費税の廃止、「最低でも減税」を呑めない者は、最初から排除する。人間関係の排除は国民の反感を買う。一方で、政策による排除とは、筋を通すことだ。野党結集の大義は、このワンイシューで良い。

 半可通は「政党には、政策の取りまとめが必要だ」と語るだろうが、無視すればよい。今の自民党など、「与党に居座りたい」以外の合意があるのか。政策など、官僚に丸投げではないか。大事なことは、景気回復までは、「最低でも減税」の一点でのみの合意に留めることだ。過去の反自民政権は、無理に政策を取りまとめようとして失敗しているのだから、景気回復までは「その他の政策は安倍内閣の継続」で良い。敵を財務省一本に絞るべきだ。

 では、いつまでに景気回復するか? これが第三だが、二回連続衆議院選挙自民党を負かすまでである。来年、総選挙で政権交代。そして2022年参議院選挙を同日選挙にして、自民党を壊滅させる。

 現状だけ見れば、10年は政権交代しないだろう。だからこそ、未来を考えるべきなのだ。理想と道しるべを示すのが、真の現実主義者だ。

【倉山 満】
憲政史研究家 ’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。現在、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を行っている。ベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』など著書多数。最新著書に『13歳からの「くにまもり」

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消費税の引き上げが実施された10月1日、首相官邸で取材を受ける安倍晋三首相。消費税が10%となった意義は永遠に理解できぬまま、我々は増税で混乱し続けなくてはならないのだろうか(写真/時事通信社)