前作『ゾンビランド』(09)の公開からおよそ10年ぶりとなる続編、『ゾンビランド:ダブルタップ』が11月22日(金)に公開となる。映画完成間近の8月下旬、ルーベン・フライシャー監督がロサンゼルスソニー・ピクチャーズ内にある編集スタジオにプレスを招き、フッテージを見せながらインタビューに応じてくれた。

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実は、続編の話は2009年の『ゾンビランド』公開直後から出ていたそうだ。レット・リースとポール・ワーニックの脚本家コンビはすぐに脚本執筆に取りかかったが、フライシャー監督は『ゾンビランド』が自身の初監督作だったことから、直感的に“なにか違う”と感じていたそうだ。「早急に続編の企画に飛びついて成功を汚したくなかったし、僕はまだ『ゾンビランド』しか監督したことがなかったから、ほかのものにチャレンジしてみたかった」と思い返す。それから5年後、フライシャー監督は『L.A. ギャング ストーリー』(13)を撮り終えたところでようやく、ソニー・ピクチャーズに続編のアイデアを話し始めたそうだ。だが、リースとワーニックの2人は当時『デッドプール』(16)の脚本に取り掛かっており、本作の脚本完成までかなりの時間を要した。そうこうしているうちにフライシャー監督自身も『ヴェノム』(18)の制作に入り、なかなかゾンビの世界に戻ることができなかった。その上、この10年間で役者として何段階もステージを上がっているキャストたちのスケジュールを調整するのは困難を極め…。「特にウディ(・ハレルソン)は、キャスト&スタッフの全員が完璧に自信が持てる脚本があがるまでは製作を開始しないほうがいいと考えていた。彼にとっても『ゾンビランド』は特別な作品で、あれだけたくさんの映画に出演していながら、ファンに声をかけられるのは「『ゾンビランド』よかったよ!」というものが最も多いのだそうだ。だから、僕らは絶対にファンの信頼を裏切るようなことはできないと肝に命じていた」とフライシャー監督は本作の製作に至った経緯を話してくれた。

本作の舞台も、『ゾンビランド』から10年後という設定だ。その間に、コロンバス役のジェシーアイゼンバーグは『ソーシャル・ネットワーク』(10)に出演し第83回アカデミー賞主演男優賞にノミネート、ウィチタ役のエマ・ストーンは『アメイジング・スパイダーマン』(12)『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(14)などを経て、『ラ・ラ・ランド』(16)で第89回アカデミー賞主演女優賞を受賞。フライシャー監督とジェシーアイゼンバーグは『ピザボーイ 史上最凶のご注文』(11)で、エマ・ストーンとは『L.A.ギャングストーリー』でそれぞれ組んでいる。2人はフライシャー監督に『ゾンビランド』の続編を望んていることをそれぞれ伝えていたそうだ。「エマとジェシーにとって、この映画はまさに最高の思い出で、映画制作の楽しさを知った作品だと言ってくれた。『ゾンビランド』を撮っていたころの僕らはいまのような成功も知らず、ただ映画の撮影を楽しんでいた。僕ら3人の間に、そういったノスタルジアがあるのかもしれないな」。

フライシャー監督が言う通り、この10年で主演の2人だけでなく、脚本家のレット・リースとポール・ワーニック、フライシャー監督もそれぞれハリウッドで大活躍を遂げている。「完璧な脚本があがり、そして僕ら全員が再び集結することが大事だった。僕らは『ゾンビランド』でのすばらしい体験をもう一度呼び起こしたいと思っていた。これが映画の魂だからね。そして10年ぶりに再集結した撮影はひたすら楽しくて、それは映画を観る観客の皆さんにも感じてもらえると思う。このチームのケミストリーはねらって作れるものではないから。僕らは、本物の家族みたいなんだ。映画にもそれが表れているはずだよ」とフライシャー監督は自身たっぷりに語る。急がずにじっくりとチャンスを待っただけあり、再集結したスタッフとキャストの円熟味も増し、最高のタイミングでの続編となった。『ゾンビランド』でコロンバスが編みだした“生き残るための32のルール”もパワーアップし、いまや73に。キャリアを積んでもこういった映画ではじけるファミリーの姿をぜひ確認してほしい。(Movie Walker・取材・文/平井伊都子)

『ゾンビランド:ダブルタップ』製作中のルーベン・フライシャー監督を直撃!