モーニング娘。OG・田中れいな10月5日、6日に東京・新宿ReNYにて、ワンマンライブ「田中れいな単独公演 ~れーな100%!vol.5 ネオパールレディ・~」(※「・」はハートマーク)を開催。新曲初披露の他、舞台曲からカバー曲、懐かしの曲まで、意外なナンバーの連続で会場を熱狂させた。

【写真を見る】黄色と黒のストライプデザインのミニドレスにニーハイブーツ。 “れいな感”抜群の衣装で登場!

■ 最高の仲間と最高のファンへ

人気のライブシリーズ「れーな100%!」だが、2019年は主演舞台、ミュージカルが連続したため、開催は実に8カ月ぶりのこと。“女優・田中れいな”の姿も魅力的だが、やはり彼女がもっとも輝くのはライブステージの上だろう。

チケットは早々にソールドアウトし、熱望していたファンの胸中をうかがえるところだった。

さて、ライブリポートの前に記しておきたいのが、今回のライブ副題「ネオパールレディ」と、新曲「SNSNG」にまつわる話だ。

新曲を制作した作詞・新良エツ子、作曲・和田俊輔は、田中が舞台、ミュージカルの出演を通して交流を深めていった2人になる。そしてダンスの振り付けは、今回もDA PUMPのKENZOが担当した。

KENZOは初回「れーな100%!!!」(2017年)のライブプロデュースも行っており、以来、DA PUMPが再ブレークし多忙になった今も、親交のある彼女のために力を貸してくれている。また、ダンスチームのリーダー・きえは、KENZO推薦の教え子でもある。

「ネオパールレディ(Neopal Lady)」には「pearl=真珠」「pal=仲間」という意味が込められており、築いてきた交流に支えられライブを作り上げているという田中の気持ちは、MC中、「すてきな仲間たち」とたびたび話す中に現れていた。

もちろん、それを届ける先にいるのは大勢のファンであり、今回のライブもまた、田中の輝きがまぶしいステージとなった。

■ 変幻自在のセットリスト「まさかこの曲が来る!?」

鮮やかなミニドレスに身を包んだ田中と4人のダンスチームがステージに現れ、前回公演での新曲「ドキバク錯覚!1日中」からライブはスタート。そして、2曲目はモーニング娘。の「愛の軍団」を。会場を沸かせながら、ダンサーと5人できっちりフォーメーションダンスを作り上げていく。

再び自身のナンバー「くれてやんない」から、Juice=Juiceの「『ひとりで生きられそう』って それってねぇ、褒めているの?」へつなげ、オリジナルとハロプロカバーを織り交ぜたセットを披露する。

前回はBEYOOOOONDSの「眼鏡の男の子」という意外な選曲でファンを驚かせたが、過去、イベントでもカバーしたことがないJuice曲はそれ以上に予想外の曲だったのだろう。

前情報なしの1公演目では、イントロのセリフで一瞬の静寂、そして歓声。原曲とは味の違う、アタックの強い表現で歌い上げていく。

「聴いてはいるけど、Juice=Juiceの歌は大人なセクシーめ。だから、『れーなじゃないなあ…』みたいな」と思っていたと話す。しかし、この曲はメロディーが覚えやすく、メッセージ性のある歌詞が一回聴いただけで好きになり、二回聴いただけで覚えてしまったという(それもすごいが)。

Juice=Juiceには田中を敬愛する高木紗友希がおり、「紗友希ちゃんに『歌ったよ』って言っといて!」と、ファンに声を掛けていた。

■ れいなの歌で聴きたいハロプロ

続いて、ファンアンケートで決めた“過去の「れいな100%!」で歌った曲でもう一度聴きたい曲”のリクエストコーナーに。ワンツーを飾ったのは、ともにモーニング娘。の曲「ナルシスかまってちゃん協奏曲第5番」と「青春Say A-HA」となり、それをここで再披露。メンバー間のコンタクト、スイッチが楽しい曲を、圧倒的歌唱力で田中ソロのカラーに染めていく。

卒業後のつんく♂楽曲を、「つんく♂歌唱の申し子のれいなならどう歌いこなすのか?」。耳を凝らして聴くのも彼女のライブの楽しみであり、それと同時に、田中のソロバージョンを聴くと、「つんく♂のイメージはこうだったのかな」と思ってしまうところでもある。

現役メンバーのファンにはOGが後輩の曲を歌うことを好まない方もいるようだが、田中にあるのは“ハロプロの曲が大好き”というその一点。彼女がカバーすることで、今のハロプロ曲を聴きに戻るOGファンもいるだろう。

「眼鏡の男の子」のカバーでBEYOOOOONDSは喜びを伝えに来てくれたと言い、田中が歌うことは、きっと現役メンバーの刺激にもなっているに違いない。

リクエストコーナーの次は、舞台「信長の野望・大志」でお市(田中)が歌った劇中歌「わらべうた」と「本能寺無声芝居曲」。後者は個人的神曲で、ザクっと言えば、「時代劇の超カッコいいエンディング曲」といった印象だ。情感をあふれさせながらもリズムを走らせる歌声が、クールに刻まれてくる。

田中は「信長の野望・大志」で主題歌も歌っており、ライブとは違う、芝居の中での歌唱も一度は聴いてみてほしいところだ。

■ いろんな意味でキレッキレな“れいなトーク”

ここで恒例のロングMCに突入。「みんなが喜ぶグッズを作りたいっちゃん!」とアンケートを取り始めたり、「みんなコールのプロやろ? どこに入れる?」と新曲のコールを一緒に考えたり。おなじみの博多弁でファンとのやりとりを楽しんでいく。

相変わらずしゃべり出したら止まらないキレッキレのトーク力で、最終公演では「ある情報を持ってきました」と、小悪魔な表情で楽しそうに切り出してくる。

「実は…」と明かしたのは、今回歌っている「恋は発想Do The Hustle!」(モーニング娘。)が、最初はシングル曲だったということ。

「なんですよ!」と得意満面な顔を会場に向けるが、ファンは「知ってる!」と即返し。「え!? なんでよー!!! なんでなんで! じゃあ代わりになったシングルは? 『直感』? なんで知っとうと!?」と、慌てふためく田中。なんでと言われても、当時のツアーで新曲とアナウンスされていたし…。

「知らんし! 今日一番のニュース持ってきたのに! もう(MC)止める」と、すねる姿はむしろファンを喜ばせていたので結果オーライだったかも。

他にも「私物? 何が欲しい? ×××? ゴメン、ふざけました(笑)」など、ちょっとNGな話が飛び出したりも。ネタは山ほどあるが、詳しい内容はライブに参加した方の特権ということで、ここでは割愛。自由奔放な“れいなトーク”を聞きたい人は、次からは全公演参戦するように。

■ ユニーク曲「SNSNG」から「THE 美学」で爆上げ

MC明けは、待望の新曲「SNSNG」を初披露。「粘着しないでよ もぅ!」「この関係にワケなんてナイじゃん!」という歌詞から始まるこの曲は、新良エツ子が「れいなちゃんにプレゼント(笑)」と送ってくれた曲だという。

曲調は、DA PUMP・KENZO考案のダンスで飾られたアップテンポなナンバー。タイトル通り、SNSで“パパラッチされる瞬間”“拡散される2人の写真”といったストーリーがダンスで表現され、歌を聴くのもダンスを見るのも楽しい曲だ。

そして新曲後は、「THE 美学」で会場のテンションを爆上げ。2009年のモーニング娘。ツアーで披露、大絶賛された松浦亜弥のカバーであり、当時見られなかったファンにはうれしいプレゼントになったはず。

続いてMCでネタにした「恋は発想Do The Hustle!」は、2005年リリースという懐かしい曲。さらにそこからラストに持ってきたのは、プラチナ期の「さよなら SEE YOU AGAIN アディオス BYE BYE チャッチャ!」という、まさかの飛び道具だった。

さよなら~」はつんく♂が本編ラスト用にと作った曲だが、あまりにユニーク過ぎるため、その後のツアーでは歌われることがなかったという曲。これで締めようと考えるのは田中くらいなものだろう。

「あのツアー以来、歌い継がれてないんじゃないかっていう。こんなに面白い歌なのに! 『恋は発想』も『夜中のポテチうまいじゃん』って、『つんく♂さん、天才かよ!!』って感じじゃない? そういう過去の懐かしい歌、現役の子たちが歌わなくなってしまった歌をれーなが探し出して、みんなに披露できたらね」と、つんく♂曲大好きな気持ちを語る田中だった。

アンコール「抱いてよ!PLEASE GO ON」でファン昇天!

「アディオス BYE BYE チャッチャ~~~!」と、お別れの言葉を残しながら田中がステージから姿を消すと、間髪入れずに“れいなコール”が飛び交いだす。

アンコール衣装で始まったのは、オリジナル曲の「アクロBADガール」。「ニャニャニャ!」とステージを走り回る“れいにゃ”を堪能できる最高の曲に、会場もクラップと声援で応えていく。

そして、いよいよ本当のラストナンバー。後藤真希カバー曲「抱いてよ!PLEASE GO ON」のイントロに、この日一番の大歓声が爆発する。華奢で小さな体がダイナミックに躍動し、全くブレることなく、力強い歌声をたたきつけてくる。

久しぶりに彼女の歌を生で聴いたという方は、シンガーとして成長し続ける姿に圧倒されたのではなかろうか。

■ 新旧のファンが楽しめる“過去と現在”

自身の人気ナンバーだけで余裕に構成できる中、それにこだわらず、まさに“何が飛び出すか分からない”内容だった今回のセットリスト。新旧のファン共に、「見に来てよかった」ではなく、「また見に来たい」となるライブであっただろう。

最後のあいさつで、ライブを共に作り上げてくれたダンサー・きえ、あいか、もか、ほのかを田中が紹介。

「どんどん新しいことを学ばせてくれて、『れーな100%!』は、れーなの足腰が悪くならん限り、ずっと続けていきたいライブやなって思わせてくれた4人です」と、きえたちに感謝を伝える。

れーな、見て楽しむのもしてほしいワケよ。聴くだけじゃなくて。だけん、れーなは立ち止まって歌うよりも、やっぱりパフォーマンスの全部を楽しんでほしいっちゃん。新曲をいきなり歌っても付いてきてくれる皆さん! すごい声援を出してくれるやろ。最後の『PLEASE GO ON』とかすごかったやん! それを見ると『やってよかったな~!!』って思えるし! みんなと一体になれる最高の空間になりました!!」と、会場にも感謝のメッセージが送られた。

最後は恒例の「おつか、れーな!」で締めくくり、大満足の「れーな100%!vol.5」は幕を閉じた。

田中はこの後、11月14日(木)から舞台「信長の野望・大志 -零-」に出演。そして、12月6日(金)に東京・新宿ReNYで30歳のバースデーイベントの開催も決定した。果たして今回取ったグッズアンケートは採用されるのか?

■ 「れーな100%!vol.5」セットリスト

M1:ドキバク錯覚!1日中

M2:愛の軍団(モーニング娘。)

M3:くれてやんない

M4:「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?(Juice=Juice)

M5:ナルシス カマってちゃん協奏曲第5番(モーニング娘。)

M6:青春Say A-HA(モーニング娘。'17)

M7:わらべうた(舞台「信長の野望・大志」)

M8:本能寺無声芝居曲(舞台「信長の野望・大志」)

M9:SNSNG

M10:THE 美学(松浦亜弥)

M11:恋は発想 Do The Husle!(モーニング娘。)

M12:さよならSEE YOU AGAIN アディオス BYE BYE チャッチャ!(モーニング娘。)

M13:アクロBADガール

M14:抱いてよ!Please go on(後藤真希)(ザテレビジョン・取材・文・撮影:鈴木康道)

会場中が熱狂した田中れいな、8カ月ぶりのソロライブ。「れーな100%!」のタイトル通り、大充実のセットリストでファンを沸かせた