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Image by marian anbu juwan from Pixabay

 ミツバチは我々が思っている以上に賢い生き物である。数なら4まで数えることができるし、人間の顔を個別に認識することもできる。

 それだけでも驚きだが、人間にとって有効な術策である「アメとムチ」も有効なのだという。

 ミツバチに数を数えさせ、正解の時にご褒美をあげるだけよりも、ミスったときに罰も与えるやり方の方が正しく数を数えることができるという、なんだか親近感がわく習性まであることが最近の研究で明らかとなった。

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ミツバチにアメとムチを使って数を数えさせる実験

 これまでの研究から、ミツバチが4つまでなら数を数えられることはわかっていた。

 しかしフランス、トゥールーズ大学のスカーレット・ハワード氏は、ひょっとするとミツバチはもっと数を数えられるのではないかと考えた。

 そこで4つの図形でなる絵柄と5~8の図形でなる絵柄が表示される箱の中にミツバチを入れて、その反応を確かめるという実験を行ってみた。

 ミツバチは次の2種のトレーニングのいずれか一方を施されていた。

 ひとつは、4つの図形でなる絵柄を選ばせるトレーニングだ。正しい図形柄を選ぶと、ご褒美として甘いシロップを飲むことができ、違う図形柄を選んだ場合は、罰として苦いキニーネ入りシロップが出てくる。

 もうひとつは、同様に4つの図形柄を選ばせるトレーニングなのだが、こちらの場合は失敗しても苦いシロップで嫌な思いをすることはない。

 これらのトレーニングを施してから、ミツバチを4つの図形柄および5、6、7、8つのいずれかの図形柄が用意された箱に入れて、きちんと正解を選べた回数を観察してみた。

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Image by PollyDot from Pixabay

ご褒美と罰、両方を使用したミツバチの方が正解率が上がる


 その結果、きちんと正解することができたのは、ご褒美だけでなく、失敗の罰まであるトレーニングを受けたミツバチグループだけで、正解率は59パーセントだった。

 また、このことはミツバチがすでに知られていた4よりも大きな数でも理解できるということを示している。

 ただし、少しキツめにお尻を叩いてやる気を出させてやらないと、真剣に数を数えようとはしないようだ。

 片付けなければいけない宿題や仕事があっても、「やらないと怒られちゃうだろうなぁ」とか想像しないとなかなかやる気が出ないといった経験は誰にでもあるだろう。

 どうやらミツバチにもそんな人間くさい一面があるようだ。

 この研究は『Journal of Experimental Biology』(10月10日付)に掲載された。

References:Bees are better at counting if they are penalised for their mistakes | New Scientist/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52283550.html
 

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