マイクロソフトのYouTube公式アカウント
Microsoft Surfaceでユニークな動画

マイクロソフトYouTube公式アカウントMicrosoft Surfaceユニークな動画を公開して話題になっている。

この動画に出演しているのはMac Bookさん。シドニー在住のマッケンジーブックさん(実名)という人で、周囲からは「マック」と愛称で呼ばれているので、マックブックさんになる。このマックブックさんが、Surface Laptop2とMacBookを比較するという内容だ。

比べているのは、バッテリーの持ち時間と処理速度。いずれもSurface Laptopの勝ちであり、さらにSurface Laptopタッチスクリーン搭載だという。比べるたびにMac Book says get a Surface laptop(マックブックはサーフェイスラップを買いなさいと言っている)などのコピーが大きく表示される。決して、Appleの製品であるMacBookが言っているわけではなく、あくまでもシドニー在住のマックブックさんが言っているだけなのだが、このコピーが面白い。

(マイクロソフトが公開したユニークプロモーション動画。Mac Bookさん(実名)が、Surface Laptop 2をお薦めするという内容)

マイクロソフトが、MacBookやiPadを
ライバルとした比較広告は以前から公開

マイクロソフトが、MacBookiPadライバルとした比較広告は、以前から公開されている。Windows 8タブレット時代には、Less Talking, More Doing(口じゃなくて行動しよう)というiPadの比較広告を公開している。

iPadWindows 8タブレットを横に並べて、iPadが「すみません。ホーム画面はリアルタイムで更新できません」「すみません、一度にひとつのことしかできません」「すみませんPowerPointは苦手です」と言う。そして、最後に「iPad 699ドル。Windows 8タブレット 449ドル」という価格の比較で終わる。つまり、Windows 8タブレットの方ができることが多いのに安いということを強調しているのだ。

(マイクロソフトのLess Talking, More Doingキャンペーンの比較広告。iPadいちいちすみません。これはできません」と謝る)

iPad ProSurface Pro 4の比較広告では、音声アシスタントのコルタナがSiriと会話をする。コルタナが「フルバージョンのOfiiceは動かせるんでしょう? アプリ版じゃなくて」と問いかけると、Siriが「その話はあまり好きではありません」と答える。

(こちらも話題になった動画。アップルの音声アシスタントSiriマイクロソフトの音声アシスタントCortanaが会話をする。Microsoft Officeが使えるかどうかの話題になると、Siriがあたふたするところがツボる)

このような広告は、比較広告と呼ばれることが多いが、マーケティングの世界ではスイッチ広告と呼ばれることもある。同じような商品、サービスを提供している企業が、ライバル製品の問題点を指摘して、乗り換えを促すことが目的だからだ。単なる比較ではなく、消費者の乗り換え行動に結びつけるという狙いがある。

その意味で、Mac Book says get a Surface laptopの広告は、コンテンツとしては面白く話題性はあるものの、スイッチ広告としてはあまり成功しているとは言えないと個人的に思う。Surfaceの利点として紹介されているのは、バッテリーの持続時間と処理速度、マルチタッチパネル対応の3つだが、MacBookユーザーはこの3点で特に困っていることはない。バッテリーへたれば交換すればいいし、処理が重くなれば最新のMacBookに買い換えることを考える。Surfaceに買い換えようと考える人は少ないのではないかと思える。

Appleは、かなり早い時期から
スイッチキャンペーンを実施

Appleは、かなり早い時期から、スイッチキャンペーンを行なっていた。使いやすさという点では、PCよりも圧倒的に優れているのに、シェアが取れず苦しんでいたからだ。そのスイッチキャンペーンで、最も成功したのが2006年から始めたGet a Macキャンペーンだ。

スーツ姿で眼鏡をかけた七三分けのPC君とカジュアルな服装のMac君の2人が会話をするというCM。60本以上ものCMが制作され、英国や日本では現地オリジナル版も制作された。

基本パターンは、PC君が「いろいろなことができる」と主張をするが、それを実現するには周辺機器が必要だったり、面倒なケーブル接続をしなければならなかったり、複雑な設定が必要だったりする。その手順をPC君が自慢げに語るが、Mac君はそれを冷ややかに聞いていて、同じことが簡単にできることを視聴者に向けて示すというものだ。PC君はときどき押し黙ってしまうことがある。再起動していたのだという。こういう演出も大いに受けた。

(スイッチ広告の走りといってもいいアップルのGet a Macキャンペーン広告。PCでは複雑な手順が必要なことが、Macではいとも簡単にできることを強調して、Macへのスイッチを促すもの。このキャンペーンは成功して、Macシェアを押し上げた)

(Get a Macキャンペーンは、大好評で日本や英国ではオリジナル版も作成された。日本ではラーメンズが出演し、人気CMとなった)

しかし、一部にはGet a Macの広告に対して批判もあったようだ。PCユーザーの一部は「悪意のある煽り」と受け止め、広告表現の細かい一部を取り上げて事実と違うと批判した人たちもいた。例えば、CMの中でPC君がマルウェアを極度に恐れるが、Mac君は平然としているなどのシーンは、PCにマルウェアが蔓延していたことを皮肉ったものだが、Macマルウェアが存在しないわけではないという批判だ。

スイッチ広告は「悪意のある煽り」
ではなく、ユーモアとして楽しむ人が増加

自分が使っているツールを批判されると、あたかも自分が批判されたかのように勘違いをして過剰反応をする人たちはいつの時代にもいる。しかし、最近ではこのようなスイッチ広告は「悪意のある煽り」ではなく、ユーモアとして楽しむ人が多くなっている。その変化が起きたのは、スマートフォンが登場したからだ。

スマホ以前の世界では、どのデバイスを使うかで、できることの世界がまったく違った。例えば、MacではワードエクセルなどのMicrosoft Officeを使うことはできなかった。Mac版のMicrosoft Officeも発売されていたが、常に書類の互換性という煩わしい問題がついてまわり、ビジネスの現場で使うには工夫を必要とした。

しかし、スマホ以後の世界では、中心がサービスに移り、そのサービスはほとんどがクラウドで提供される。デバイスが何であっても、ほぼ同じサービス体験が可能になった。デバイスは個人の好みや印象で選べばよくなり、機能や性能はさほど重要なことではなくなってきた。そのため、「デバイススイッチする」という発想そのものがなくなっている。新しい機種を買うときに、別ブランドのものを選んだとしても、それはスイッチ乗り換えをしたというよりも、そのときに気に入ったものを選んだにすぎなくなっている。

2017年に、サムスンGalaxyiPhoneの10年間を比較した動画を公開した。iPhoneユーザーの男性とGalaxyを使う恋人の女性のストーリーで、iPhoneは行列をしなければ買うことができない、写真を撮るとすぐにストレージがいっぱいになる、防水機能がないので水に濡れたら壊れるなど、その時代のiPhoneの問題点を取り上げ、Galaxyなら大丈夫ということを訴えている。

極め付けは、2017年に発売されたiPhone 8、iPhone Xで、イヤフォンジャックが廃止された件だ。イヤフォンを使いながら充電するにはアダプターが必要となり、絡まるケーブルに困惑する主人公の姿が描かれる。結局、主人公Galaxy Noteに「スイッチ」をする。するとある日、アップルストアに行列ができているのを見かける。そこに並んでいる男性の前髪がおかしい。iPhone Xで話題になった画面上部のノッチ(切り欠き)と同じ髪型なのだ。

この動画に反応したのは、むしろiPhoneユーザーだった。音楽を聴きながらの充電問題はiPhoneユーザーであればあるあるだし(AirPodsの発売は後のことになる)、ノッチの髪型に至っては爆笑した。これを見て、GalaxyスイッチしたiPhoneユーザーはあまりいないと思うが、多くのiPhoneユーザーがこの動画を楽しんだ。今やスイッチ広告や比較広告は、煽られている方も楽しめるエンターテイメントのひとつになっている。

(サムスンが公開したGalaxyiPhoneの10年間を振り返った動画。煽られる側であるiPhoneユーザーも、思わず笑ってしまう楽しい内容になっている。最後に登場する男性の前髪に注目)

“マック・ブック”が、サーフェイスラップを買いなさいと言っている!?アップル、マイクロソフト、サムスンの比較広告の歴史