すでに一部マスコミで報道されているが、ホリエモンこと堀江貴文氏らが手掛ける高級立食焼肉店「YAKINIKUMAFIA新宿店」が10月4日プレオープンした。場所はゴジラでお馴染みの歌舞伎町TOHOシネマズの裏手、一番街と歌舞伎花道が交差する辺りで、立地としてはまずまずのところと言えるだろう。

現在、堀江氏らが手掛けている高級会員制焼肉店の系列となるワケだが、聞くところによると会員になるハードルは高いらしく、いわんや筆者などが伺いしることの出来る店ではない。もっとも、この歌舞伎町店の場合は、プレオープン時のみが会員専門で、来年1月以降に予定されているグランドオープンからは一般客にも開放されるそうだ。

肉には一家言ある堀江氏だけに、グランドオープンとなれば話題を呼ぶことは必至だが、本稿の主題は高級焼肉店の内容ではなく、なぜ歌舞伎町なのか?ということだ。すでに堀江氏は、立食スタイルにしたのは、ヨーロッパなどにある同様の立食グルメ店を意識したものであり、歌舞伎町インバウンド層をターゲットにしている、とプレスに語っている。

これらの言動は、いま現在、外国人観光客が東京滞在でもっとも訪れる街である新宿が、今後さらにその需要を伸びていくことを見越しているからであろう。

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実際問題としてここ数年、「歌舞伎町ルネッサンス」と称した街の改革は着々と進んでおり、その効果は街ゆく人々に如実にあらわれている。JR新宿駅東口から靖国通りを越え、旧コマ劇場跡地に立地するTOHOシネマズ方面に向かう道々には若年層と外国人観光客が溢れ、一見するとまるで「渋谷」の街並みのようにも思えるくらいだ。

このような状況を生んだ背景は確かにインバウンド効果も大きいのだが、「失われた20年」による長期不況で、それまで歌舞伎町のメイン客であったサラリーマン層が抜け落ちたことも大きい。

これは歌舞伎花道と呼ばれる東西に歌舞伎町を分かつ道の北側に顕著で、以前は9割方サラリーマン客が占めていたのが、半分かそれ以下の割合となっているのだ。

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率直に言って、かつては歌舞伎町にとって経費が使えたサラリーマンが“上客”であった。しかし、彼らの財布のヒモが極端にキツイ現状ではなりふり構わっていられず、仕方なく方向転換を図ったのである。斯くして、歌舞伎町は一昔前とはガラッと変化した街並みとなった。これをルネッサンスと呼ぶのかどうかわからないが、変化という意味では大きい。

今後、これらの傾向はさらに拍車がかかる。2022年には堀江氏が出店した焼肉店の目と鼻の先である旧ミラノ座跡に48階立てのホテル(複合施設)が完成し、空港から直接インバウンド客を引き入れるバスターミナルも出来る予定だ。

つまり歌舞伎町は、客単価が期待できるインバウンド層と、客単価は安いがリピートが期待できる若年層の二極化した街となっていく。大人の街・歌舞伎町を懐かしむ人にとっては寂しい時代とも言えそうだが。(取材・文◎鈴木光司)

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画像は『自分のことだけ考える。: 無駄なものにふりまわされないメンタル術』より