各地で記録的な大雨を降らせた台風19号。建物に被害があった場合は、自治体の窓口で「罹災証明書」を取りましょう。

公的な支援や保険請求の手続きで必要となる「被害の程度を証明する書面」のことです。あらかじめスマホなどで被害状況を記録しておくことが勧められています。

●罹災証明書の効果

「罹災証明書」は台風だけでなく、豪雨や地震、津波などの自然災害のときに発行されます(災害対策基本法第90条の2)。

被災者が申請すると、市町村が被害状況を調査して、その程度を判断し、交付します。

対象となるのは、賃貸アパートや借家も含めた住家で、被害の程度によって支援金が受けられたり、税や保険料、公共料金の免除・猶予のときに必要になったりします。また、民間会社での保険請求で使うこともあります。

●スマホでの撮影が大事

ただし、災害によっては職員の現場調査に時間がかかる可能性もありますから、被災者自身がスマホなどで撮影した写真が証拠として価値を持ちます。

たとえば、今回の台風で千曲川が氾濫した長野市の担当者は次のように話します。

「こちらでも早急に調査しますが、すでに片付け作業を始めているところでは、どこまで被害にあったかの証拠が消えてしまうことがあります。写真があると、判断するときに判定しやすくなります」

もしも、住宅に被害があった場合には、すぐに片付けたり、修理したりせず、水がどこまで浸かったかわかるような写真を撮っておくと良いでしょう。

●写真がなかったら?

ただし、仮に片付けが終わっていたからといって、証拠がないから罹災証明書は交付されないということではありません。

「写真があるに越したことはありません。ただ、水害ですから、近隣の家の被害状況から、どのくらいの高さまで水が来たか、ある程度の推測はできると思います。近隣の被災状況などを考慮して、現場調査を進めていくことになろうかと思います」

すでに片付けを始めてしまっても、可能な範囲で証拠を残し、自治体に相談してみると良いでしょう。

なお、長野市では、市役所本庁だけでも、すでに二十数件の申請があったそうです(10月15日16時現在)。

「罹災証明書」、片付け前の「被災写真」が大事 長野市は20件超の申請