地震や台風、大雨など、いつ起こるか分からない自然災害

災害の発生直後は自らの身を守る行動を取らなければなりませんが、その後は食料の確保が重要になってきます。食料の確保には日頃からの「備蓄」が大切だと分かっていても「特別な用意が必要」と考えると、少し身構えてしまうもの。

「日常備蓄」は食料や日用品を日頃から「少し多め」に備えるという考え方です。これならばハードルが低いように感じませんか? しかも日常備蓄は、食品ロスを防ぐ効果もあるといいます。

災害時の生活を守るために。日常備蓄で対策を

日常備蓄は何から始めればいい?

カップ麺

kai / PIXTA(ピクスタ)

日常備蓄では特別なものを備えるのではなく、普段から食べたり飲んだりしているものを他の保存食などと組み合わせて備蓄します。

そのまま食べたり飲んだりできるものに加えて、主食(レトルトごはん、カップ麺、乾麺、パン等)、主菜(缶詰類、ソーセージ、レトルトのスープ等)、飲み物類(飲料水、ジュース類、コーヒー飲料、お茶等)などを用意します。
普段から好んで飲食しているものを選び、「少し多め」に備えておきましょう。

また、甘い食品(プラ容器に入ったゼリーやプリン、チョコレート、小分けしてあるようかん等)などは糖分が摂取できるだけではなく、災害時にかかるストレスの軽減にもなりますので、備蓄にぴったりの食品といえます。

チョコレート

Glucose / PIXTA(ピクスタ)

大切なのは備蓄したものを日常で消費すること

サバ缶

和尚 / PIXTA(ピクスタ)

「少し多め」に備蓄した食品は、消費期限が近いものから順番に食べていきましょう。災害時のために備蓄した食品が「いざ」というときに消費期限切れで食べられない・・・・・・といった事態を防ぐことになります。

このように、普段から「少し多めに食品を備えておく→食べた分を買い足す→また備える」を繰り返して、常に食品を一定量備えることは「ローリングストック法」と呼ばれています。

ただ、ローリングストック法は食品の管理や継続が難しいともいわれています。
それでも、これが日常備蓄という考えのもとで実践できれば、備蓄品だけを特別に買い揃えることなく日常の生活のなかで一定量の食品が備蓄できます。

日常備蓄を実践するコツ

パントリー

mrc / PIXTA(ピクスタ)

日常備蓄を実践する場合、まずは食品の消費期限を目立つところに明記しておきましょう。100均などで売っているインデックスシールを利用すれば、消費期限を書いて簡単に食品に貼ることができます。

また、消費した食品分を買い足す場合は、その商品が「美味しかったか」や、「利用しやすかったか」などを振り返って、もしそうではなかった場合は他の商品も試してみましょう。

日常備蓄を成功させるには「自分に合った食品の備蓄」を心がけることが大切なのです。

食品ロスを防ぐ日常備蓄

缶詰

dorry / PIXTA(ピクスタ)

これまで「非常食」とは災害時に備え、長期保存が可能な食品を特別に買い揃える方法が主流でしたが、長期保存可能な食品と普段食べているものを組み合わせながら備えていけば、日常生活のなかで自然と備蓄ができます。

日常生活のなかで備蓄された食品は消費期限が近いものから使われていくため、自然と「食品ロス」の防止にもつながります。

日本では年間643万トン(2016年度)の食品ロスが発生しており、このうち家庭から出る食品ロスは約291万トンで、食品ロス全体の半分近くにも達しています。

日常備蓄の考え方が浸透すれば、災害時の食品備蓄が自然とできるだけではなく、日本の食品ロスを大幅に削減できるかもしれません。

まとめ

これまで特別な準備だった「災害に備えるための備蓄」にくらべて、食品の管理と備蓄の継続が容易にできる日常備蓄。自然災害への備えと食品ロス防止のために、日常備蓄を実践してみてはいかがでしょうか。

【参考】
※ 東京都防災ホームページ 「都民の備蓄推進プロジェクト
※ 消費者庁 「食品ロスにしない 備蓄のすすめ」
※ 農林水産省 「食品ロス量(平成28年度推計値)の公表について」
※ 一般財団法人 日本気象協会 「備蓄の心得」

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