これからの時代、お金持ちになれるのは妄想力が強い人と言えるかもしれません。今や日本文化を象徴する存在となった漫画やアニメを生み出す仕事をしている人はその代表的な存在です。「まんが=子供のもの」と蔑まれた時代はとっくに終わりました。逆に、「ONE PIECE」の作者・尾田栄一郎氏を始め超人気漫画を生み出したクリエイターは、今の子どもたちにとって収入面も含めてあこがれの職業として認知されています。ほかにも、妄想力を強みに豊かさを手に入れる方法が、テクノロジーの進化とともに次々と出現しているのです。


クラウドファンディングは資本主義の理想

妄想力にいくら自身があっても、それを実現させるのにまとまった資金がまず必要になるのは道理です。YouTuberのように、無資金から始められるものももちろんありますが、漫画やアニメを作ろうとなると初期投資はどうしても必要になります。ただし、その資金を調達する方法は、昔に比べて格段に手頃になりつつあります。最も知られているのは、クラウドファンディングです。ある意味、これこそが最も資本主義のあるべき姿と言えるかもしれません。

支援者を動かすのは「心地良さ」

クラウドファンディングが素晴らしいのは、起案者が発信した「夢」が世の中のためになり、かつ自分にも利益をもたらす可能性があるからこそ、支援者からお金や情報が集まる仕組みになっている点と言えます。支援者が起案者の夢をシェアし、それを見た別の人がさらに情報を広め、加速度的に世の中に伝播され、結果として発案者にお金がもたらされるわけですが、なぜ一つの「夢」がそんなに拡散するかといえば、夢に共感した人たちが覚える「心地良さ」に秘密があるのではないでしょうか。前々から同じような夢を考えていたところに、ちょうどその情報がやってきて、自分もその夢の発案者として相乗りしたい、そう願う気持ちを出資という形で表明することで、自分もその夢に参加している心地よさを覚えるのではないでしょうか。

“夢は人の為ならず”

クラウドファンディングの仕組みは、「情けは人の為ならず」の意味を地で行く側面があるように思えます。この場合、「情け」とは「夢=妄想」であり、自分の妄想をできるだけ多くの人たちに発信することで、巡り巡って自分への利益となって返ってくるということになるでしょうか。夢を語る力、妄想力の追求こそ、無限の富をもたらす源泉。その力には大人も子供も関係ないはず。多くの人を心地よくさせる妄想を発信できるかが、富を手に入れる時代になったと言えるでしょう。

参考書籍:吉角裕一朗著「『まだない仕事』で稼ぐ方法」 (ワニ・プラス刊)

足立謙二 ライター。時事通信社記者を経てフリー。WEBニュース、雑誌などに執筆。得意ジャンルは昭和カルチャーから特撮、最新アニメまで幅広く偏り気味に。

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