「必死ですよ、こっちも」 プレミアリーガー吉田も驚きを示すトレーニング強度

 森保一監督率いる日本代表は15日、カタールワールドカップ(W杯)アジア2次予選の敵地タジキスタン戦に臨む。10日のモンゴル戦を6-0の大勝で終え、良い状態を保ちながらの一戦となるが、チーム内での競争激化が良好なサイクルを生み出しているようだ。

 モンゴル戦ではMF遠藤航シュツットガルト)、FW鎌田大地フランクフルト)が代表初ゴールを記録し、激戦区の右サイドハーフで先発フル出場したMF伊東純也(ヘンク)は3アシストと躍動した。圧勝によって2次予選の連勝スタートを飾るだけでなく、チーム内でのポジション争いも激しくなっている。

 アジア予選はW杯出場の切符を懸けた勝負の舞台であると同時に、選手個人にとっては代表に生き残るためのサバイバルレースでもある。キャプテンのDF吉田麻也サウサンプトン)は、現在のチーム状況を次のように表現した。

「トレーニングが一番、しんどいですね。みんな、すごいですよ。セットプレーなんか大変です。意地でも点を取ってやろうという感じで来るので。必死ですよ、こっちも」

 世界屈指の競争力を誇るプレミアリーグを日常とする吉田でさえ、驚くほどの強度があるという。タジキスタン戦ではセンターバックの“相棒”であるDF冨安健洋(ボローニャ)が負傷で不在だが、「他のセンターバックからしたら超ビッグチャンスでしょう」と語るように、“競争原理”がしっかりと機能することで、主力の離脱もマイナスに感じさせない状況が生まれている。

本気をぶつけ合うトレーニングから生まれる“相乗効果”のなかでタジキスタン戦へ

 チーム内競争の“熱”の高まりは、特定ポジションだけに関わる話ではない。歴戦のDF長友佑都ガラタサライ)も吉田と同様の感触を持っており、「ゲームをやってもプレッシャーはハンパじゃない」という言葉には実感がこもる。

 左サイドバックを務める長友にとって、紅白戦で対峙するのは最激戦区と言ってもいい右サイドハーフ。必然的に熱量を感じることも多くなるが、「迫力は増していますけど、僕のほうが熱い情熱がある。そこの迫力は彼らにも負けていないと思います」とプライドをのぞかせた。

 チームの勝利を第一としながらも、一人ひとりが定位置を確保するためにトレーニングから本気をぶつけ合うことで、周囲もさらにギアを上げていく“相乗効果”が発生している。健全な競争のサイクルのただ中にある日本代表は、タジキスタンとの一戦でどのような姿を見せるだろうか。(Football ZONE web編集部・片村光博 / Mitsuhiro Katamura

日本代表のスタメン争いが激しさを増してきている【写真:Yukihito Taguchi】