ダンボール(byryo/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

警視庁東村山署は14日、東村山市に住む無職の少女(19)を死体遺棄の疑いで、通常逮捕した。先日も岩手県で生まれたばかりの新生児を投げ捨てた事件が発生したばかりだった。しらべぇ取材班は、関係各所から話を聞いた。

■ポリ袋につつんで乳児を

逮捕容疑は9月下旬ごろから10月14日までの間、自室でポリ袋に包んだ男児の遺体を段ボール箱に入れて放置し、遺棄したもの。男児に目立った外傷はなく、何枚ものポリ袋に包まれて密閉されていた。へその緒のようなものも入っていたという。

少女は50代の母親、姉との3人暮らし。異臭に気づいた母親が14日未明、少女の部屋で遺体を発見し、少女は、母親に連れられて東村山署に出頭したという。調べに対して、少女は「9月下旬ごろに自宅で産んだが、泣き声がなかった」などと供述している。

同署は、少女が男児を産んだとみて、遺棄した動機や死因を詳しく調べている。

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■妊娠をしたが…

妊娠相談や特別養子縁組のあっせんにあたる東京の一般社団法人「ベアホープ」には、電話やメールで年間およそ200件の妊娠に関する相談が寄せられているという。

経済的な理由から出産するかどうか迷っているという声や、「予期せぬ妊娠」になったため周囲に知られずに出産するためにどうすればいいかという悩みなど、相談の内容はさまざまだという。

とくに10代の女性からは「親に知られずに出産をできないか」といった相談が多いとのこと。

10代で妊娠した人は、学校を退学せざるをえないなど、精神的にも孤立した状態になりやすく、周りのサポートを得られない状態を放置すると、医療的なケアを受けない危険な「孤立出産」につながりかねないという。

■相次ぐ孤立出産の現状

「孤立出産」に至るケースは、全国で相次いで報告されてる。全国で唯一、親が育てられない子どもを匿名で受け入れるいわゆる「赤ちゃんポスト」を運営する熊本市の民間病院の「慈恵病院」。

この10年間で、合わせて130人を預かってきたが、およそ半分の62人が医療的なケアを受けずに自宅や車の中で生まれたという。

病院側が母親に聞き取ったところ、未婚の女性が妊娠後にパートナーと連絡がとれなくなり、世間体も考えて親に迷惑をかけられないという思いから自宅で出産したというケースや、未成年の女性が堕胎を考えたものの、費用が捻出できずに自宅で出産したというケースもあったという。

■孤立する母親を支える仕組み

東京都八王子市では2017年4月から、18歳未満で母親や父親になった人を対象に、その子どもが保育所に入りやすくなる制度を導入した。子どもを預けている間、母親や父親が高校などに通い続け、その結果、就職先を見つけて経済基盤を整えてもらうことを目的にしている。

若い世代の出産には親との関係がうまくいかず、周囲に相談できないケースも。

八王子市の担当者は、「若い世代の孤立を防いで子育てを支援するとともに、専門の助産師などによる電話での相談や面談も行っているので、妊娠に少しでも不安があれば、相談してほしい」と話す。

厚労省も行政の敷居が高いと感じている若い世代に、気軽に相談してもらおうと、民間のNPO組織でも相談に乗れる体制づくりへの予算を要求中。若い妊婦が孤立しない社会づくりが大切なのかも知れない。

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(文/しらべぇ編集部・おのっち

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