幅広いレパートリーを武器に、ピアノ音楽の様々な可能性を切り開いてきたロシアの俊英ヴォロディンが来日する。そのヴォロディンの今回のテーマは、自らのルーツと言える“ロシアの作曲家たちの音楽”だ。20世紀前半似活躍したニコライ・メトネルのロマンティックな小品集「おとぎ話」に、チャイコフスキーの名高いバレエ組曲「眠れる森の美女(プレトニョフ編)」。そして締めくくりには、ピアノ音楽の中でも最高の技巧が求められる難曲、バラキレフの「イスラメイ」というプログラムには、ロシア伝統のロマンティシズムと気高いピアニズムの香りが充満する。

「日本の聴衆は、真摯に演奏家の心に寄り添ってくださる。来日公演を重ねる度に、皆様がより身近な存在になっているのを実感する」と語るなど、親日家の側面も持つヴォロディンが描き出すロシアピアニズムの“凄さ”を体験したい。

●公演概要
10月21日(月) 紀尾井ホール「アレクセイ・ヴォロディン ピアノ・リサイタル」

アレクセイ・ヴォロディン
非常に繊細なタッチと華麗な技巧が高く評価されているヴォロディンは、桁外れに多様なレパートリーを有し、ベートーヴェンブラームスからチャイコフスキーラフマニノフプロコフィエフ、さらにガーシュウィンからシチェドリンメトネルまで自在に弾きこなす。

1977年レニングラード生まれ。モスクワのグネーシン音楽大学で学んだ後、モスクワ音楽院でヴィルサラーゼに師事した。2003年、チューリヒで行われたゲザ・アンダ国際ピアノ・コンクールでの優勝を機に国際的にその名が知られることとなった。

ゲルギエフ、アシュケナージ、ナガノ、インキネンらの指揮のもと、マリインスキー劇場管、ロシアナショナル管、SWR響、モントリオール響、N響、中国国家大劇院管などと共演、リサイタルはウィーンコンツェルトハウス、マリインスキー劇場、フィルハーモニー・ド・パリ、チューリヒのトーンハレなどのホールで定期的に演奏。室内楽にも力を入れ、ボロディン弦楽四重奏団、モディリアーニ弦楽四重奏団、ヤンセン、ラクリン、マイスキー、ガベッタらと共演している。

2019/20年シーズンは、ローマサンタ・チェチーリア国立管、シドニー響、ハンブルクフィルロイヤルフィルサンクトペテルブルグフィルなどに招かれ、ロンドンのサウスバンク・センターで開催される「インターナショナル・ピアノ・シリーズ」やウィグモア・ホール、アムステルダムのコンセルトヘボウでの「マスター・ピアニスト・シリーズ」にも登場する。

最新の録音は、マリインスキー・レーベルからリリースされたゲルギエフの指揮によるプロコフィエフのピアノ協奏曲第4番。チャレンジ・クラシックス・レーベルでラフマニノフシューマンラヴェルスクリャービンのソロ作品も録音している。ショパンの作品を録音したCDは、クラシカ誌のショック賞とディアパゾン誌の5つ星を受賞した。
スタインウェイの専属アーティストである。

アレクセイ・ヴォロディン