台湾は非常に親日的だ。東日本大震災では250億円の義援金が届けられ、日本中を感動させたことは記憶に新しい。今回の台風19号による被害に対しても、蔡英文総統は13日午前、お見舞いのメッセージをツイッターに投稿した。「日本は我々にとって最も大切な友人だ。いつでも支援に駆けつける」という内容だった。中国メディアの看看新聞は14日、台湾が親日であることを「日本に媚びている」と批判する記事を掲載した。

 言うまでもなく中国では、台湾が日本と親しくすることを快く思わず、ことあるごとに批判している。記事は、立法部門の責任者である蘇嘉全氏が訪日した際、「日台は夫婦のようで、日本が泣けば台湾も泣き、日本が笑えば台湾も笑う」と日本に媚びた発言をしたと紹介。また、外事部門の責任者である呉釗燮氏も「日本は兄で、台湾は弟」と表現したことに言及し、不快感を示した。

 記事によると、台湾から出るこうした発言は「祖国に逆らい、積極的に日本に好意を示すものだ」だと主張。これらは「台湾独立という本質」から出たものであるとし、日本統治時代に育まれた日本に対する親近感もあって、蔡政権は自ら日本にすり寄る「醜態」をさらしていると主張した。

 しかし記事は、民進党が日本に媚びることで台湾独立を目指しても、中国の台頭と日中関係が改善している環境の中では、「兄」である日本は台湾に優しく接することはないと主張。中台関係の対立によって台湾独立を煽ることは、国際社会の中で「頭をぶつけて血を流すだけ」で、滅亡の危機感で2020年の選挙を「騙す」なら、滅亡は早まることだろうとけん制した。

 蔡英文氏は今月10日の建国記念日にあたる「双十節」の祝賀行事で、一国二制度を改めて拒絶しており、香港の抗議活動も蔡政権にとっては追い風になっている。記事の主張とは裏腹に、来年1月の総統選挙で再選を目指す蔡英文氏はますます有利になっているようであり、その危機感からあえてこのような記事を出したのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

親日の台湾は「日本への媚び」、日本にすり寄る「醜態」と批判=中国メディア