先日、日本列島を襲った台風19号。そのすさまじい大きさや被害予測から「世界史上最大級」とも呼ばれ、多くの店が終日閉店を事前に決定し、鉄道会社も計画運休を早々に公表していた。

 しかしそんな状況にも関わらず、緊急性がないにも関わらず、仕事をするように言われたブラックな自社をネタにした「#台風なのに出社させた企業」のハッシュタグがトレンド入りして話題に。今回は、このハッシュタグを付けツイッターで話題となった人たちを直撃した。

◆日用品や食料品の販売ではないのに「こんな時でも来て下さるお客様のために終日営業!」

 漫画家の金山カメさん@I8Kt3agXwezBkyn)のご主人は販売系の仕事をしている。医療や消防や介護のようなどうしてもやらなくてはならない業種ではなく「台風が過ぎてからゆっくり買いにきてもまったく問題のないものを売っている」にもかかわらず、ご主人の会社の上司は「こんな時にでも来て下さるお客様の為にわが社は営業する!」と宣言したという。

 ショッピングセンター内に入っているテナントであれば母体自体が営業停止となっていたはずだが、残念ながらそういった店ではなく、会社の決定により上層部から出勤するように通達があったそうだ。

「12日について主人はハナから行く気が無かったですね。こんな台風の時に営業しても売り上げは伸びないし、台風の最中に来るようなお客様はお得意さんにはならないから、行く必要なし!と思っていたみたいです。

 私は単純に安全のために出勤はして欲しくなかったです。結果的には被害はありませんでしたが、メディアであれだけ直撃すると言われていましたし、我が家には幼児もいるのでいざ避難となった時、夫がいないと私1人では身動きがとれないのも不安でした。なので、夫が息を吸うように風邪引きました~☆って返した時は、ナイス!と思いました」



 小さいお子さんがいればなおさら不安も大きいだろう。そして何よりそんな中出勤することに反対する気持ちはまっとうだ。

 ご主人の勤め先には電車で通勤している方が多いことから、普段から車で通勤している金山さんのご主人に12日出勤は出来ないか……?と確認してきたようだが、ご主人のとっさの切り返しにより、結局12日の営業は午前中で終了となったようだ。きっと他の従業員も「ナイス!」と思ったことだろう。

コンビニ各社は「店ごとに判断」としていたが……



 今回の台風は土曜日だったこともあり、「#台風なのに出社させた企業」を見ていても「出社しなければならない!」という叫びはとても少なかったように感じた。しかし、そんな中さらりと出勤要請があったことをつぶやいていたのはコンビで漫才をやっている、お笑い芸人のむぎさん(@3out_mugi)だった。

 詳しく話を聞いてみると、むぎさんはアルバイトコンビニに勤務しているという。台風が12日に関東を直撃すると言われていたにも関わらず、オーナーがなかなか判断してくれずに困ったのだという。

 むぎさん自身も「24時間営業で食料品もあるのでライフラインとして緊急時にも駆け込み寺のような感じでお客さんが緊急避難出来るように、なるべくお店は開けておく方が良い」と考えているというが、さすがに今回の台風では外を歩いている人も皆無、納品などもストップしていたので従業員の出勤は不要だったように思う。

 結局、かなり二転三転した後に、夜勤のシフトが入っていたむぎさんは出勤しなければならなくなったようだ。

オーナーマネジャーリーダー、他の従業員とみんな意見がバラバラでこちらはかなり振り回されました。お店自体は12日(土)のお昼から13日(日)の朝まで閉めたのですが、12日の夜勤に出勤をするスタッフがいないと、パンなどの納品があった場合に困ると言われ、また13日は朝から営業するのでその前に掃除や補充をやらないといけないことから12日の夜勤に出勤してくれ、ということでした。私は納品は来ないだろう……と思っていましたが、案の定納品はなかったです」

 12日から13日にかけては、配送トラックも安全のため配送を中止していたチェーン店が多くあったため、結局来たのは朝刊だけだったそうだ。ちなみに、オーナーは出勤するのは1人だけでいいと言ったそうだが、出勤する1人が「1人は寂しいから2人欲しい」と言ったことから、むぎさんが道連れになったとのこと。確かに、あの台風直撃の中ガラス張りの店舗に1人きりは不安だろう。

「結局、いつもの夜勤より出勤時間は遅かったのですが、2人で廃棄と、やり残した洗い物や掃除、商品の補充をしました。ドアは閉めており『7時から営業します』という張り紙を貼っていたのですが、明け方に『ちょっとだけ』『たばこだけ買わせて』と駄々をこねるお客さんもいました。お店は7時よりも前倒しで開け、早朝勤務の人に引き継いで帰宅しましたが、いつもより労働時間が短いのにいつもより疲れました……」

 納品はなかったとはいえ、ただでさえやることが多く時間に追われる夜勤勤務だが、加えて台風におびえ、イレギュラーなお客様の対応をするなど気が張っていたことからさぞ疲れたことだろう……。

 食料や日用品を求めている客のため、せっかく来てくれた客のため、という想いは大切だが、顧客と同じくらい従業員の安全にも配慮することが企業としては大切なのではないか。判断はその状況により、また業種や職種によりとても難しいが、「そこまでして出勤させる必要があるのか」という冷静な視点は持っていてほしいと願う。<取材・文/松本果歩>

【松本果歩】
恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライターコンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。Twitter@KA_HO_MA

ツイッターで漫画家の金山カメさんが投稿した漫画