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 「今年の夏”は”、異常に暑かった」から「今年の夏”も”、異常に暑かった」と口にする人が増えて何年になるだろう。

 世界中の土地温度は、私たち人間が活動する結果として加速される地球温暖化の影響で、過去50年で0.9℃上昇しているという。

 今回、アメリカにある気候研究所が、世界中の気象観測所からデータ収集をしたところ、今年の夏だけで観測史上、396件の気温記録が更新されたことが明らかになった。

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北半球が迎えた記録的な夏

 英メディアによると、北半球は今年も記録的な夏を迎え、合計396か所で史上最高の気温が記録された。

 その多くは、6月と7月にヨーロッパで発生した極端な熱波の最中に記録されたもので、フランスドイツイギリスの何百もの気象観測所では、温度計の水銀が前例のないレベルにまで上昇したそうだ。

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 アメリカのカリフォルニア州バークレーに拠点を置く気候研究所『バークレー・アース(Berkeley Earth)』では、世界中の数千にのぼる気象観測所からのデータ収集を行っている。

 そのデータによると、今年の夏アメリカの30以上の場所で、「最も記録的な気温」が確認されている他、全体としては5月1日8月30日までの間、29か国、1200か所で夏の間の平均気温を更新したという。

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各地で史上最高の記録を更新


 バークレー・アースの主任科学者ロバート・ローデ氏は、英メディアに次のように話している。

ヨーロッパの一部の場所は、150年以上前に遡る気象観測の歴史がありますが、それでも史上最高の記録を更新しました。

過去には、気象観測所の記録の約2%のみが、1年の間に最高記録を更新していただけですが、近年の地球温暖化に伴い、気象観測が新しい記録をいとも簡単に更新するようになりました。

最近では、今年のように気象観測所の5%もしくはそれ以上が、過去最高の記録を更新しているという事態になっています。

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相次ぐ気温更新は、地球温暖化への広い傾向に一致


 これらのデータは、人間の活動の結果として加速された地球温暖化へのより広い傾向に一致しているようだ。

 世界中の土地温度は、過去250年で1.5℃の上昇を記録しており、過去50年においては0.9℃上昇したことを示すデータも報告されている。

 記録された歴史の中で、最も暑い4年は全て2015年以降であり、2016年が最も暑い日が多かった1年だった。

 しかし今年の7月は、世界中で最も暑かった月で、9月は記録上最も暖かかったことが報告されている。

 バークレー・アースの分析では、太陽活動の影響を除いても、これら温度上昇は、人間の温室効果ガス排出量の増加と直接相関していると主張している。

 また、この夏の極端なヨーロッパの熱波に関する別の報告では、人間の活動によって気温が1.5℃~3℃上昇したとも伝えられている。

 心配なことに、今年この傾向が続いていくことは、ほぼ確実のようだ。

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地球温暖化は暑くなるだけではない。気候変動で災害が多発する

 地球温暖化はなにも暑さだけをもたらすものではない。南極や北極の氷がとけることでその寒気が流れ込み、冬は寒波により極端に寒くなり雪が多くなる。

 「温暖化」という言葉だと誤解されるから「気候変動」という言葉の方がわかりやすいかもしれない。

 更にこの気候変動のやっかいなところは、これまで経験したことのない未曽有の災害をもたらすということだ。台風が極端に発達したり、その進路が変化したりするのも気候変動の一種と言えよう。

 夏は極端に暑く、冬は極端に寒くなることで季節は二極化し、これまでは特定の自然災害が起こらなかった場所にも災害をもたらしてしまうことになるのだ。

 今まで大丈夫だったからこれからも大丈夫という保証はない。我々は今、あらゆる災害に備えなければならないようだ。

追記(2019/10/17)本文を一部修正して再送します。
References:IFL Science!など / written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52283564.html
 

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