お花を飾りたい。でも、どう選んでいいか分からない。そんな人にオススメしたいのが、近所のお花屋さんではなかなか見かけない、とっておきの花が毎月届く宅配サービス。
「花の定期便」は、定期的に季節の花が届く定額のサービス。届いたらそのまま生けられるように、相性のいい花をセレクトしているので、初心者にもうれしいサービスです。そんな「花の定期便」が好評な、「北中植物商店」の小野木彩香さんにお話を伺いました。

これまでの悩み

これまでは金曜日にお花を買って、週末を中心に楽しんでいました。でも、自分で選ぶと同じような種類のお花ばかり手に取ってしまったり、組み合わせ方が分からなくて一種類だけになりがちでした。また、お花が好きなのにどう生けたら素敵になるか自信がなくて、選んだり生けたりするのは苦手という状態がずっと続いていました。

なので、お花屋さんが選んでくれたブーケが毎月届くというサービスは、正直ありがたい。お花を楽しみながら、選び方と生け方も学ぶことができます。

北中植物商店へ

東京都三鷹市。野川のほとりに建つ古い日本家屋で金土日だけオープンする「北中植物商店」を訪れました。

川沿いの緑あふれる場所にある「北中植物商店」は、季節の花を販売しているだけでなく、庭づくりの提案も行っているお花屋さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

今回お話を聞いた店主の小野木さんは、ここにお店を構えて5年。お花の販売だけでなく、ワークショップなども開催しています。

建物は趣のある日本家屋(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

アンティーク家具と一緒に飾られている植物はすべて販売されています(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「3年ほど前に、雑貨感覚で取り入れやすいドライフラワーが、インテリアアイテムとして大流行しました。手軽でかわいく、お手入れが不要なために、多くの人へ広がったのでしょう。それと共に、生花を飾ることもトレンドになりました。
一輪でも生花を飾る習慣があると、季節を感じるきっかけになります。それはうつわや食べ物への関心にもつながっていき、暮らしがよりみずみずしく、豊かになります。花は季節よりも少しだけ早いものが売られているので、“秋が来るな”と、先取りして感じることができます」(小野木さん、以下同)

朝ごはんを食べているとき。帰宅したとき。夜、のんびりしているとき。ふとお花が目に入ると、気持ちがふわっとほぐれます。生きているものが空間にあることで、部屋の雰囲気がやさしく潤うように感じるのです。

お店の奥にあるワークショップスペースに飾られたスワッグ。飾り方の参考にもなります(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

小野木さんがつくられたリースやスワッグも販売しています(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

お花の選び方

「秋は、いよいよ実ものがお店に並びます。枝ものや実ものは長持ちしますし、そのままドライフラワーにできるものも多いので、忙しかったり扱いに慣れていなくても安心です。ひまわりやバラ、デルフィニウムも、比較的長持ちする品種。茎がしっかりしている個体を選ぶと、丈夫で長持ちします。

店内には小野木さんが市場でセレクトした季節のお花が並んでいました(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

お花の生け方

お花を選んだら、いよいよ花瓶に生けましょう。
「花瓶の高さと、そこから出ている茎の長さは1:1.5が目安です。適度な長さに切ったら、上の数枚を残して葉っぱを取ります。そのほうが花に水と栄養がいくのと、蒸れるのを防げるからです。また、茎の上部で枝分かれして多くの花をつけるスプレー咲きは、枝を切り分けるとボリュームが出ますし、長さも調節できます」

儚げなデルフィニウムも実は長持ち(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「ある程度お花の量がある場合は、花瓶と花の間に茎が見えないように飾るのがポイントです。花瓶の縁にかかるように、メインの花を短く切って生けると全体の印象がボヤけません」

全体のバランスを見ながら生けていくことが重要だそうです(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「数本だけなら、長さをちょっと変えて、動きが出るように生けても素敵です」

メインの花は短めに切ります(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

生けやすい花瓶とは

「花瓶は、数本生けるならば高さ10cm、10本以上生けるならば高さ25cmのものが使いやすいです。ガラスや白磁の花瓶は、季節を問わず使えるので、一つ目にピッタリ。太くて口がすぼまっている形は、安定感があり生けやすく、お洒落に見えます」

高さ25cm前後の花瓶もたくさん販売されています(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

高さ10cmは数本挿しにピッタリ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

全体のバランスはこのくらい(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

定期便が届いたら

取材後に、心待ちにしていた定期便が届きました。紫がかったブルーとオレンジの組み合わせにハッとします。数種類のお花を中心に、野の花のような草花や実ものがあしらわれていて、この組み合わせはプロならではだと感激しました。

箱を開けたら、秋色のブーケが(写真撮影/柳沢小実)

まず、ブーケのまま花瓶にいけて完成されたアレンジメントを楽しみ、少しずつお花が傷んで減ってきたら、ブーケをほどいていくつかに分けて飾ってもいいそう。
花を長持ちさせるためには、なるべく毎日茎を切って、水を吸い上げられるようにすること。ブーケをそのまま手に持ち、下を切りましょう。
花は素直で、お手入れすると応えてくれます。たっぷり愛情を注いで、長く楽しみたいですね。

届いたブーケをそのまま花瓶に(写真撮影/柳沢小実)

はじめて体験したお花の定期便。プロが選んだ雰囲気のあるお花を飾りながら、お花の選び方や組み合わせも学ぶことができました。毎月異なるお花が届くのも楽しみです。そしてなにより、お花のある暮らしは、心にも潤いを与えてくれます。お花との距離が、ぐんと近づいたように感じました。
花のある暮らしに憧れているけれどなかなかお店に行けない方や、お花選びに迷ってしまう方にこそ、オススメしたいサービスです。

●取材協力
北中植物商店 (Instagram)
(柳沢小実)
(写真撮影/柳沢小実)