公立福生病院(東京都福生市)で、透析治療を中止して亡くなった女性(当時44)の遺族が10月17日、透析治療の中止についてきちんとした説明がなかったなどとして、病院を運営する福生病院組合を相手取り、慰謝料2200万円をもとめる訴訟を東京地裁に起こした。

原告は、女性の夫(52)と次男(21)。訴状によると、慢性腎不全だった女性は2018年8月9日、公立福生病院の医師から、透析を続けるために手術をするか、透析を中止するかという選択肢を示されて、中止に同意した。

女性は8月14日に入院したが、8月16日になって、看護師に「こんな苦しいなら透析した方が良い。(透析中止を)撤回する」と話したという。しかし、結局、透析治療は再開されず、そのまま同日亡くなったという。

●「透析を再開してくれたら、今も生きていた」

原告の代理人弁護士と支援者10月17日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。原告側は、医師が(1)治療行為の中止を提案し、透析治療を中止したこと、(2)透析中止の同意を撤回できると説明していなかったこと――が違法だと主張している。

女性の夫は、代理人を通じて次のようなコメントを発表した。

「妻が公立福生病院に入院した時、私は亡くなるとは思っていませんでした。入院すれば助けてくれると思っていました。死に方が不自然で腑に落ちません」「透析を再開してくれたら、症状がよくなり今も生きていてくれたと思うと、残念でなりません」「信頼していたのに、裏切られた思いです」

病院側は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、代理人を通じて「訴状が届いていないので、内容についてはコメントできない」と回答した。

透析中止で女性死亡「信頼していたのに裏切られた」 遺族が公立福生病院を提訴