Twitterに投稿されるや“最も泣ける四コマ”として熱狂的な支持を集めた世紀末の同名漫画を、『ももいろそらを』(11)で国内外から高い評価を得た小林啓一監督が実写映画化した『殺さない彼と死なない彼女』の完成披露上映会が17日、新宿バルト9にて開催。ダブル主演を務めた間宮祥太朗桜井日奈子を筆頭に、恒松祐里、堀田真由箭内夢菜ゆうたろう、金子大地、中尾暢樹ら注目の若手俳優陣と小林監督が登壇した。

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本作は不器用で純粋な3組の少年少女たちの姿を描いた青春映画。なんにも興味が持てずに退屈な高校生活を送っ

ていた少年の小坂れいは、ある日リストカット常習者で“死にたがり”の少女、鹿野ななに出会い、ハチを埋葬したことをきっかけに同じ時間を共に過ごすようになる。そして2人は不器用なやり取りを繰り返しながらも、互いの心の傷を癒し、前を向いて歩みだしていくのだが…。

小坂役を演じた間宮は「“殺さない彼”なのに殺しそうなスーツで来ました」と冒頭から茶目っ気たっぷりに挨拶すると「僕はこの映画を“2人”という人間関係の最小の数の話だと思っていて、いろいろ“数”に敏感になりがちな世の中で、自分にとってその1人の存在がどれだけ大きいかが映画から伝わればいいかなと思います」と語る。

一方で、鹿野役を演じた桜井は「キャスト全員が揃うのは初めて。撮影の時はずっと間宮さんと2人だったので、皆さんのことを知れたらなと思います」とコメント。そしてほぼ同世代のキャストたちは、それぞれ自身が演じた役柄についてや撮影現場での思い出、作品に込めた想いや見どころなどを和気あいあいと語っていき、最後に順番が回ってきた小林監督は「みんながいいことを言ってくれていたので充分かな(笑)」と満面の笑みを浮かべていた。

その後キャスト陣は作品のタイトルにちなんで、自身が「〇〇ない彼」「〇〇ない彼女」なのかをフリップに書いて発表。「あまり感情が顔に出ない彼」という間宮は「人それぞれ感情の出し方があるので、僕はうまく反応できなくて…」と、仕事が決まった時やサプライズをしてもらった時など、うれしいと思っても顔に出ないことを告白。すると桜井は「確かに現場でも、なに考えているのかわからないというか、冗談なのか冗談じゃないのかよくわからなかった」と、撮影の合間に間宮と“好きな食べ物当てクイズ”をした時に突然ふざけはじめたことなど、間宮の不思議な挙動の数々を明かす。

そんな桜井は「捨てられない彼女」ということで「いただいたものだったりすると余計に捨てられないですし、いつか使うだろうと思ってどんどん取っておいてしまう」と語る。すると間宮は「僕は結構捨てるほうですけどね」と明かし、「いまの話を聞いたら、絶対いらないものを延々とあげ続けて、捨てられずに増えていくという新手の嫌がらせができると思いました」とニヤリと微笑み、会場の爆笑を誘った。

そして最後にキャスト陣を代表してマイクを取った間宮は「“泣ける四コマ”と言われてますけど、泣かせようとか感動させようとかを感じさせないありのままの原作。それを小林監督が脚本にし、このメンバーで映画を作り、完成した作品を観た時には綺麗な映画だと思いました。本当に1人と1人の“2人”という話なので、自分の中にそういう人が浮かぶといいなと思います。観ていただいて心に残ったならば、自分の大事だと思う人に口で伝えてください」と力強く呼びかけた。(Movie Walker・取材・文/久保田 和馬)

『殺さない彼と死なない彼女』の完成披露舞台挨拶に登壇した間宮祥太朗と桜井日奈子