ヒットメーカーにして、もはや巨匠のひとりスティーヴン・スピルバーグ監督。実質の映画デビュー作である1971年激突!』も、最新作である2018年レディ・プレイヤー1』にも原作があるんです。じつはあれにもこれにも原作が!?そんな作品たちをご紹介します。

巨匠スティーヴン・スピルバーグ

映画が好きな人はもちろん、そんなに興味がない人でも、ミドルエッジの世代であれば、スティーヴン・スピルバーグ監督の名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

スピルバーグは1946年12月18日アメリカ合衆国オハイオ州シンシナティ生まれ。小さな頃からテレビが大好きで、13歳の頃には8ミリカメラを回していたそうです。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校(CSULB)の映画学部に進学。ただしすでに仕事として映画に関わっていたため、翌年には忙しさを理由に中退しています。
1971年ですから若干25歳の時に、テレビドラマの傑作『刑事コロンボ』の第3話「構想の死角」で監督デビュー。その後、テレビ映画用として『激突!』を監督し、これは評判を呼んで日本等では劇場公開もされました。
以降は『ジョーズ』、『インディ・ジョーンズ シリーズ』、『ジュラシック・パーク』等のヒット作を次々と発表しています。最新作は今のところ2018年の『レディ・プレイヤー1』。

制作総指揮としての作品も非常に多く、ロバート・ゼメキス監督『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、マイケル・ベイ監督『トランスフォーマー シリーズ』などが特に有名です。

さて、そんなヒットメーカーであるスピルバーグなのですが、じつはその映画作品に、原作小説がある場合が多いのです。その監督作品をチェックしていくと「これにも原作が!?」と驚かれるかもしれません。では、そんな監督作品たちを、徹底的にご紹介しましょう。

1970年代の作品たち

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『激突!』1971年

知人に貸した金を返してもらうためデヴィッド・マンは、車でカリフォルニアへ向かっていた。その途中、ハイウェイで1台の大型トレーラーを追い越すのだが、それが恐怖の始まりだった。トレーラーが、マンの車を執拗に追いかけ始めたのだ…。

上記しました通り、海外では初めて劇場公開もされた作品です。トレーラーから追跡され、そして命をも狙われるようになった男の恐怖を描いた作品です。凄いのは、トレーラーの運転手の顔がいっさい映らないところ! 
それによって運転手の人間性は消え、トレーラーそのものが怪物のようです。
スピルバーグは「『激突!』は機械への批判だ。僕は早い段階で、この映画のすべては技術社会全体が完全に崩壊したことを描くことだと心に決めていた」と語っています。

この原作と脚本を書いたのは、リチャード・マシスン。他に有名な映画化作品には、2007年ウィルスミス主演『アイ・アム・レジェンド』があります。これはむしろミドルエッジの読者の方には、1971年のチャールトン・ヘストン主演『地球最後の男オメガマン』として映画化されていると言った方がよいかもしれません(1964年にはヴィンセント・プライス主演『地球最後の男』としても映画化されています)。

『ジョーズ』1975年

アメリカ東海岸の平和なビーチに、若い女性の遺体が打ち上げられた。町の警察署長であるブロディはそれをサメによる仕業だとするが、収入がなくなるという理由で市長たちはビーチの閉鎖を断る。やがて二人目の犠牲者が出て…。巨大人食いサメの恐怖と、それに立ち向う3人の男たちの姿を描いた作品。

激突!』ではトレーラーの恐怖でしたが、今度はサメの恐怖です。『激突!』でも発揮されたスリラー演出が、さらに研ぎ澄まされた作品とも言えるでしょう。改めて見るとサメの恐ろしさも重要ですが、それに立ち向かう男たちのドラマも熱い作品です。

この原作を書いたのはアメリカ作家のピーター・ベンチリー。大学を卒業した後は新聞社で記事を書いていたようです。他の映画化作品には1997年ジャクリーン・ビセット出演『ザ・ディープ』。これはスキューバダイビング中に海底で見つけた沈没船が出てくる海洋サスペンス1980年にはマイケルケイン出演で『アイランド』という、バハマ諸島を舞台にした小説が映画化されています。やはり『ジョーズ』の成功から抜け出せなかったのか、舞台は海ばっかりですね。

1980年代を早足で(申し訳ありません)

「真夜中の遊戯」1983年

これは『トワイライトゾーン/超次元の体験』というオムニバス映画の中の1本です。老人ホームを舞台に、子供の姿に戻った老人たちを描いたファンタジー作品。原作者はアメリカの作家ジョージ・クレイトンジョンソン。他の映画化作品には1960年の『オーシャンと十一人の仲間』があります。こちらはジョージクルーニーを始めとする豪華キャストで、2001年に『オーシャンズ11』とリメイクされています。

『カラーパープル』1985年

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奴隷のような生活を強いられる黒人女性が、妹との再会を信じて生きる姿を描いた作品。原作はアメリカ人作家アリスウォーカー。同作でピューリッツァー賞フィクション部門を受賞しています。

『太陽の帝国』1987年

日中戦争中の上海を舞台に、日本の零戦に憧れるイギリス少年を主人公にした作品。原作は上海生まれのイギリス人、J・G・バラードで、彼の実体験がもとになっています。他の映画化作品には、1996年デヴィッドクローネンバーグ監督の『クラッシュ』。群像劇で、クリスマス間近のLAで起こった交通事故から始まる物語です。

1990年代を早足で

『ジュラシック・パーク』1993年

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最新科学で蘇った恐竜たちを見せる「ジュラシック・パーク」を舞台にした、恐竜パニック映画。原作はマイケルクライトン。映画化されたものには1971年アンドロメダ…』、他にはテレビになりますが『ER シリーズ』などがあります。

『シンドラーのリスト』1993年

第二次世界大戦中、ドイツによるユダヤ人の大量虐殺(ホロコースト)からユダヤ人たちを救ったドイツオスカーシンドラーを描いた作品。娯楽作品の監督としては評価を得ていたスピルバーグですが、本作でやっとアカデミー作品賞を受賞しました。原作はトーマスキニーリーの『シンドラーの箱船』。

2000年代を早足で

『A.I.』2001年

2001年宇宙の旅』などで有名なスタンリー・キューブリック監督の企画でしたが、彼の死にともないスピルバーグが監督しました。原作はブライアンオールディスの短編「スーパートイズ」。ただし大きく改変されているようです。

『マイノリティ・リポート』2002年

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3人の予知能力者たち(プリコグ)の力で事前に犯罪を防ぐ犯罪予防局。そこにつとめる刑事ジョン主人公にしたSF作品。原作はフィリップ・K・ディックの短編小説「マイノリティ・リポート」で、他の映画化作品は多すぎて長いリストになってしまうほど。有名なところでは『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作にした、リドリー・スコット監督の『ブレードランナー』。シュワルツェネッガー主演『トータル・リコール』、キアヌ・リーヴス主演の『スキャナー・ダークリー』などもあります。

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』2002年

天才詐欺師と、彼を追うFBI捜査官を描いた作品。原作はフランク・W・アバグネイルの自伝小説『世界をだました男』です。

『宇宙戦争』2005年

火星から攻めてきた宇宙人と戦う人類を描いた作品。原作は「SFの父」H・G・ウェルズの『宇宙戦争』。他には『タイム・マシン』や『モロー博士の島』、『透明人間』などがあり、何度も何度も映画化されています。

『ミュンヘン』2005年

1972年に起きたミュンヘンオリンピック事件(11人のイスラエル選手とコーチなどが殺害された)と、その後のイスラエルによる報復作戦を描いた作品。原作はジョージ・ジョナス『標的は11人 モサド暗殺チームの記録』です。

2010年代を早足で

『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』2011

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少年記者タンタンと愛犬スノーウィの冒険を描いた作品。原作はベルギー漫画家エルジェ。『なぞのユニコーン号』の他、いくつかの作品を足したもののようです。

『戦火の馬』2011年

第一次世界大戦を舞台に、少年と馬の絆を描いた作品。原作はマイケル・モーパーゴの『戦火の馬』です。

『リンカーン』2012年

奴隷解放宣言をしたことで有名な、アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンを描いた作品。原作はドリス・カーンズ・グッドウィンによる伝記本『リンカーン』。

『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』2016年

孤独な少女と心優しい巨人の友情を描いたファンタジー作品。原作はロアルド・ダールの『オ・ヤサシ巨人BFG』。他の原作としてティム・バートン監督『チャーリーチョコレート工場』があります。

そして2018年の最新作『レディ・プレイヤー1』

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2045年を舞台に、仮想ネットワークシステムオアシス」を開発した億万長者の遺産を巡る、高校生ウェイドを主人公にしたSF作品。

2019年現在のところ、最新作です。1980年代カルチャーへのオマージュに溢れた作品で、懐かしのキャラクターたちがたくさん出ます! それもアニメから実写、ゲームまで! ポスターに出ている分だけでもネタバレすると『機動戦士ガンダム』、『AKIRA』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などなど。

ただし、アーネストクラインの原作『ゲームウォーズ』では、もっともっとキャラクターが出ているのです! 権利関係で出られなかったようで、とっても残念。あれもこれもハリウッド版で見てみたかったですね…。

原作ものは続くよどこまでも

まだ上映年は未定ですが、これからフォトジャーナリストのリンジー・アダリオの伝記「It’s What I Do:A Photographer’s Life Of Love And War」をもとに映画を製作する予定だそうです。

というわけで長くなりましたが、いかがだったでしょうか? 原作があったことに驚いていただければ嬉しいです。また、原作にも興味を持っていただいたら、さらに嬉しく思います。
映画もいいけど小説もね!

なお『プライベート・ライアン』などの実際の話がモデルになっているものの、小説として出ていない(と思われる)ものは省かせていただきました。

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