副業、転職、早期退職、定年の70歳引き上げなどで多様化するサラリーマン人生だが、多くの平凡な会社員は「今いる会社で定年まで働き続けたい」というのが本音。だが、本当に今の会社で70歳まで安泰な人生を送れるのか。やる気やモチベーションを維持し働き続けられるのか。倒産、もしくはリストラされ路頭に迷うようなことにはならないのか。新たな時代の企業の見分け方を専門家が伝授する。

◆給与減でもしがみつけ!? 退職金カットが危険信号

 最も重要で、働き続けていいかどうかをわかりやすく判断する基準が給与面だ。給与が減額されたら働き続ける価値はないのかと思いきや、識者からは意外な答えが。

「40歳を超えた正社員で中堅以上の企業に長く勤めていると給料は減らされるケースが多いですが、2割程度の収入減なら、安定賃金と終身雇用が維持されている既得権にしがみつくべき」(経営戦略コンサルタントの鈴木貴博氏)

 ただ、その質には注意が必要だ。

「特定の事業部門を立ち上げ、そこに配置転換されて賃金が減ったら先行きは暗い。また、50代が高給取りで若手の採用・昇給がない会社も、その世代が辞めたら平均賃金が激減するのが目に見えています。一方、職務給で、育休などで引き継いだ仕事の分も給料に上乗せされている会社であれば、働き続けてOKです」(人事コンサルタントの城繁幸氏)

 見極めるポイントはまだある。

「給与体系がわかりやすく、パフォーマンスリターンに透明性があれば大丈夫。上司が絶対評価で決めている会社は論外です」(城氏)

 退職金も重要な判断基準だ。厚生労働省「就労条件総合調査」によると過去15年間の大卒者の退職金、年々平均支給額は下がっているが、退職金が減額されると退職後に破産する可能性も。

「もともと詳細な計算方法を開示していない上に『会社に残りたいなら新しい(不利な)制度に合意してください』と通達を出してくる会社は怪しいです」(鈴木氏)

 城氏も「年功賃金から成果報酬型に移行した会社は手厚い退職金をもらえる可能性は低い」と話す。しかし逆の考えもある。

「退職金をあてに我慢するのは古い。30~40代なら成果報酬型に移行した会社のほうが市場価値を高められます」(人材育成を支援するFeelWorks代表の前川孝雄氏)

 給料と退職金は生活に直結するため、よく考えたいポイントだ。

◆<働き続けてもいい会社の見極めポイント

※上から順に、働き続けると危険度が高い

1.特定事業に配置転換され大幅に給与を減額された
2.50代が高給取りなのに若手がなかなか昇給しない
3.退職金の計算方法が開示されないまま減額された
4.給与体系が複雑でわかりにくい
5.成果報酬制を導入したが評価基準が上司の絶対評価
 ~ここから下はセーフゾーン
6.30~40代の段階で成果報酬制に移行した
7.40歳を超えて給料が2割程度カットされた
8.引き継いだ仕事の分も職務給に上乗せされている

【経営戦略コンサルタント・鈴木貴博氏】
百年コンサルティング代表取締役大企業の経営戦略コンサルのかたわら、近著に『格差と階級の未来』(講談社)など著書多数

【人事コンサルタント・城 繁幸氏】
Joe’sLabo代表取締役。労働・雇用問題に若者の視点を導入。著書に『7割は課長にさえなれません』(PHP研究所)など

FeelWorks代表・前川孝雄氏】
独自開発した「上司力」「50代からの働き方」研修で400社超を支援。共著に『一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[働き続けていい会社]―


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