台風が去った翌日、不動産会社にはたくさんの電話がかかってくるといいます。
台風19号が過ぎ去った2019年10月13日も、宅地建物取引士の吉井希宥美さんが勤務する不動産会社にはたくさんの電話がかかってきたそうです。理由は、水漏れを中心とした住まいのトラブル。
なかでも多いのは、サッシの縁からの水漏れだとか。水漏れ自体は雨が止めばおさまりますが、台風19号のように雨が長時間続くと、部屋のクロスがめくれたり、カビが発生したりして異臭が部屋の中を漂います。
水漏れが起きたときは応急処置をしておけばその後の修繕が最小限で済み、早く元の生活に戻ることができます。具体的にどのような処置をすればよいのか、吉井さんに聞いてみました。
豪雨でサッシが水漏れ。防ぐには?応急処置は?1. 台風時にサッシから雨が吹き込む原因は?
普段の雨では問題ないけれど、台風が来ると雨が吹き込むというときは、まず雨の向きや量が関係している可能性があります。サッシの縁から水が入ってしまう原因を考えてみましょう。
1-1 サッシの可動部分の隙間
サッシの可動部分には隙間があります。窓を動かすための戸車を収納する空間やレールがあるので、その部分にどうしても隙間ができてしまうのです。
隙間から雨水が入ってきた場合、ある程度は外側の窓枠から排水できるようになっていますが、ゲリラ豪雨や台風など一度に排水できる量を超える雨が降ると、室内側に浸水してしまいます。
1-2 窓枠からの雨漏り
窓枠はコーキングという充填材で外壁と接着されていますが、これが劣化すると隙間ができ、雨水が侵入してしまいます。
劣化が初期状態であまり悪化していない場合は、それほど隙間ができていないため、大量に雨が降ったときのみ症状が現れる可能性があります。
経年劣化により窓枠が歪んだ場合も、そこが雨水の浸入経路となることがあります。
ガラスと框(かまち/ガラスを囲む枠)のつなぎ目に使われるゴムパッキンも、コーキングと同様に年が経つにつれ、劣化していきます。そこから雨水が吹き込んでくるケースもあります。
2. サッシからの吹き込みを防ぐ方法は?
ABC / PIXTA(ピクスタ)
破損箇所があったときは早めに修繕すべきですが、暴風雨のなかで行うのは危険です。そんなときにできる、応急処置をご紹介します。
2-1 雨戸を閉める
雨戸が設置されている場合は、雨戸を閉めてサッシを保護しましょう。吹き込みはもちろんですが、風で飛んできた物が窓ガラスに当たって破損するのも防ぐことができます。
雨戸がない窓でも、引き違い窓なら、網戸の位置を変えるだけで吹き込みを軽減できることがあります。網戸の位置を室外側に近い方にあるサッシと反対側にすると、サッシが互い違いになって雨が吹き込みにくくなります。
2-2 レールにたまっている水を吸い取る
サッシのレールに雑巾や吸水シートを敷いて、吹き込んでくる雨水を吸い取りましょう。ポイントは雑巾などを「堰(せき)」を作るようにあてがうことです。
水を吸い取りすぎると、逆に雨水を引き込んでしまう可能性があるので、レール部分いっぱいに敷き詰めないようにしましょう。
2-3 室外側のレールのごみを取り除く
レールにゴミや枯れ葉などが詰まっていると、排水部分が機能しない場合があります。排水機能を正常にするために、日頃から掃除をこまめにするようにしましょう。
サッシから水漏れした家庭に行ってみると、意外にもゴミが詰まっていることが多いです。
2-4 防水テープを貼り付ける
窓枠やガラスのゴムパッキンから雨が吹き込んでいるときは、防水テープを貼り付けて隙間を塞ぎましょう。水気をよく拭き取ってから貼るようにします。
テープの隙間ができている部分より、少し広めに貼るのがポイントです。
3.まとめ
台風やゲリラ豪雨のときの雨は、量や吹き付ける方向が通常とは異なります。そのためにサッシの隙間から雨が吹き込んだり、レールからの水あふれなどが見られます。室内に水が浸入する原因は、天井などからの雨漏りが原因になっている場合もあります。
水漏れは家の躯体を傷めます。雨が止んだら早急に調査しましょう。
いずれにせよ早急な応急処置が必要となります。もしものために、すべきことを頭に入れておきましょう。
ファイナンシャルプランナー(AFP)/宅地建物取引士一般社団法人/家族信託普及協会®会員 吉井希宥美
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