いじめ(paylessimages/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

文部科学省から、2018年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果が公表された。

その中で、小・中・高・特別支援学校におけるいじめの認知件数は54万3,933件(前年度 41万4,378 件)などの詳細なデータが判明した。しらべぇ取材班は、文科省に詳しい話を聞いた。

■自殺者332人

全国のいじめ件数は、前年度より12万9,555 件増加。児童生徒1,000 人当たりの認知件数は40.9 件(前年度30.9 件)となっている。いじめ防止対策推進法第 28 条第 1 項に規定する重大事態の発生件数は602件(前年度474 件)。

小・中学校における、長期欠席者数は、24万39 人(前年度21万7,040 人)。 このうち、不登校児童生徒数は16万4,528 人(前年度14万4,031人)で、不登校児童生徒の割合は 1.7%(前年度1.5%)となっている。

小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数は332人(前年度250人)。

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■出席停止を有効に…

いじめ防止対策推進法第二十六条には、このような記述がある。

出席停止制度の適切な運用等)

市町村の教育委員会は、いじめを行った児童等の保護者に対して学校教育法第三十五条第一項(同法第四十九条において準用する場合を含む。)の規定に基づき当該児童等の出席停止を命ずる等、いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を速やかに講ずるものとする」

「この出席停止をいじめ対策に有効に運用すべき」と大学教授などの教育関係者が主張している。

■実際には…

だが実際には、出席停止の措置件数は全国で7件(前年度8件)で、 その内訳は小学校0件(前年度1件)、中学校7件(前年度7件)。理由別の内訳としては、対教師暴力5件、生徒間暴力5件、いじめ1件となっている。

各学校、各教委を取材していると、「いじめの加害者にも人権があり、簡単には出席停止にさせられない」という声を多く聞く。この状況に関して、文部科学省児童生徒課は、

出席停止については、検証をしていく必要がある。なぜ少ないのか、そして出席停止措置を受けた児童・生徒がその後、どう変化したのか。加害者については、家庭環境、家庭内でのトラブル、貧困、その他さまざまな背景がいじめの原因になっていることが多い。

「そのうえで、さらに出席停止で追い込むことが果たして適切なのかという問題もある」

と述べた。

■とにかく寄り添う

いじめの今後の対策について、同じく児童生徒課は、

「児童・生徒の命がまず大事であることは言うまでもない。あまりに対応がひどい教育委員会には、直接出向くなどして指導を行っている。

いじめ防止対策推進法が現場レベルまで定着するように丁寧に指導していく。とにかく、児童・生徒に寄り添う対応を行っていく」

と取材の最後に述べた。

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(文/しらべぇ編集部・おのっち

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