10月8日SONYは「プレイステーション5」の発売が正式に決定したと公表した。投入は2020年の年末商戦とされる。

プレイステーション
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 ローンタイトルなどは未定だが、事前リークの情報元が海外の開発会社ということもあり、FPSリアルタイムストラテジーなど、海外の人気シリーズを据えることが有力視されている。またPS4と互換性を保持しているので、PS4ユーザーは既存のソフト資産を活用できる。

 内部には8コア16スレッドCPUや、AMDによる新設計のGPUを採用。同時に、対応するゲームディスクの容量は100GBにまでアップするという。従来の「据置機」の流れを汲む保守的な構成だが、性能面では過去最高のハイエンドマシンとなる。

そもそも「8K解像度」って何!?

 PS5では「8K解像度モニタへの対応が謳われている。この「8K解像度」がどれほどのものか、プレイステーションシリーズの歴史と一緒に比較し確認してみたい(ここで言う「解像度」というのは、ゲーム画面を構成するマス目の数だと思ってもらえれば差し支えない)。

 1994年に発売された初代プレイステーションは、ポリゴンによる3Dグラフィックゲームの世界に普及させる立役者となった。このときの解像度は「640×480」で、総解像度307,200。接続方法の違いなどがあり単純な比較はできないが、同じ4:3アナログテレビを使いながらにして、解像度だけでもファミコン(実効的な総解像度は約57,000)の5倍以上の表現力があったといえる。

 現在主流の解像度が、Blu-rayビデオディスクなどでも採用されている「フルHD」と呼ばれるもの。この規格の解像度は「1920×1080」で、総解像度は2,073,600。現在販売されている人気機種「Nintendo Switch」の最大出力解像度がこれにあたるほか、2013年に発売されたPS4もこの解像度だ。

8Kは「4K」をさらに4倍にしたもの



 今日の売れ線は、さらにその上を行く「4K解像度」。来年の東京五輪を控えるいま、世間の注目はこの「4Kテレビ」に集まっている。解像度フルHDの4倍の「3842160」で、総解像度は8,294,400におよぶ。PS4の上位機種「PS4 Pro」がこの解像度で出力できるほか、Xboxシリーズの「One X」と「One S」も4Kに対応している。

 来たる「PS5」が対応する8Kというのは、この「4K」をさらに4倍にしたもの。解像度は「7,680×4,320」で、総解像度は驚異の33,177,600である。ライバルハードであるNintendo Switchの画面がすっぽり16個収まる。

 このハイスペックインパクト大だ。とはいえPS5をフルスペックで遊ぶためには、別途8K解像度に対応したモニタを用意する必要がある。

8Kに対応しているのは60型以上!

狭小住宅
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 数字の上では素晴らしいばかりの8K解像度だが、普及の途は遠いように思える。ここ数年、4KのテレビやPC用モニタが順調に値下がりしているのに対し、8Kテレビは型落ち品や中古品でも30万円台半ばを下らない(10月16日時点)。

 しかし値段以上に問題なのは、モニタサイズである。4Kなら24~30型にも豊富なラインナップがあるのに対し、「8Kテレビ」として売られているのは60~80型が主。一応プロ用途として31.5型の8Kモニタも存在するが、価格帯は大型と大差ない。

 60型以上のサイズになると、適切な視聴距離を稼ぐためには、少なくとも10畳程度の整理されたリビングルームが必要になる。したがって都心で働く単身者の多くにとって、8Kテレビは「夢のまた夢」のようなアイテムになってしまっている。

 過去30年の間に液晶や半導体がめざましく進化したのに対し、日本の都市部の間取りは、ファミコンを遊んでいた時代からほとんど向上していないのである。若手サラリーマンの給料では、どうやったってモデルハウスのような新築マンションは借りられないのだから仕方ない。

 もっとも、普及が進んでいないからといって、PS5の目玉「8K出力」機能に用途がないわけではない。たとえばeスポーツの大会では、特別な装置を用いずとも、巨大なディスプレイに最高の解像度で出力することができる。

ゲームボーイ、Switch。任天堂のハード戦略

 初代プレイステーションが市場を席巻した90年代後半、ニンテンドー64が振るわない老舗・任天堂を支えたのは、液晶一体型の携帯機ゲームボーイだった。

 ソニーと対照的に、任天堂ハード戦略は必ずしもハイエンド志向ではない。任天堂はこの10年の間に、コントローラタッチパネルを搭載したWii U、そして本体に液晶一体型を採用したSwitchを通じて、「据置機」と「携帯機」の垣根を取り払ってきた。

 Switchなら、寂しいワンルームマンションや子ども部屋でも問題なく遊ぶことができる。海外市場は別として、日本のお寒い住宅事情に合致しているのはこちらのように思える。「それなスマホでいい」「タブレットでいい」ということになりかねない難点を抱えてはいるものの、現在のところはコンテンツの魅力がそれを補っている。

 ところでソニー陣営にも、ヘッドアップディスプレイの「PSVR」がある。これなら6畳間でも、部屋さえ片付いていれば没入感のあるバーチャル体験が可能。ただし製造技術の問題から、次世代の「PSVR2」でも8K解像度の実現は困難と思われる。PS5の最高のグラフィック技術が「宝の持ち腐れ」になるのはやはり惜しい。

年末商戦を狙うPS5。お値段が心配…

 現行ハイエンドの「PS4 Pro」の価格は約4万円。発売開始時には4万4980円だったことを考えると、PS5もこの価格帯を狙ってくることが想定される。ライバルハードよりは高値を付けるものの、パーツ構成を考えるとこれより安くするのは難しい。

 さて、海外では好調な売れ行きを続けるプレイステーションシリーズだが、日本国内では2000年代半ばから売上を減らし、総出荷台数における国内比率はPS4で1割を切っている。

 PS5登場で「狭い家に暮らす日本人はいよいよ見捨てられた」というのはさすがに穿ちすぎだが、「ラララ・プレイステーション」という陽気なCMで子ども層の取り込みに躍起だった頃と事情が違うのは確かなようだ。

 もちろん、ローンタイトルの発表を待たずして「次世代ハード戦争」を語るのは時期尚早に過ぎる。8Kグラフィックに対応するハイエンド機がどう活躍するのか、その行方を見守りたい。

TEXTジャンヤー宇都>

【ジャンヤー宇都】

「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆

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