マイナビウーマン2019年10月~11月の特集は「愛すべき困(コン)プレックス」。

外見コンプレックス、独身コンプレックス、処女コンプレックス……。年齢を重ねる度にコンプレックスは増えていく。

だけど、実はコンプレックスって悪いことばかりじゃないのかも。いろんな人からコンプレックスにまつわる話を聞いて、ちょっとだけ前を向けるようになるための特集です。

そんな特集記事の1本目に登場するのは、2019年3月に美容整形を受けたことを公表した、タレントの有村藍里さん(29歳)。

自身が抱えるコンプレックスとどのように向き合い、乗り越えてきたのか。逆にコンプレックスがあったからこそ得られたものとは?

この記事を読み終えたあと、写真の中にいる彼女の笑顔がもっと輝いて見えるはず。

■見た目に対する意見は「逆に勉強になった」

――今年3月にご自身のSNSで美容整形を公表されたときは、たくさんのメディアで取り上げられ、すごく話題になりましたよね。そもそも、整形をしようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

昔からずっと、口元……というか歯並びにコンプレックスがあって、20代前半から6年間くらい歯列矯正を続けていたんです。その途中で、私が女優・有村架純の姉だとスクープされて、名前が世に広まったときに「口元が残念だね」とメッセージをいただくことが多くなりました。

もともと私自身も、自分の顔にはしっくりきていなくて。グラビアアイドルのお仕事をさせていただいていたときも、写真を見て「なんかかわいくないな~」とずっと思っていました。

それで、歯列矯正していたにもかかわらず、やっぱりまだどこか直さないといけないのかな、でもどこを直せばいいんだろう……と悩んでいたところだったんです。それで、世間の意見を聞いて「あ、もしかして骨格がよくないのかな」とハッとしました。

――スクープされて世間から注目を浴びたことが、美容整形を考える最初のきっかけになったんですね。

そうですね。どちらかといえば「どこを直せばいいのか気づかされた」と言ったほうが正しいかもしれません。意見をいただいたことで、「あ、ここかー」と腑に落ちたというか。

昔は人前に出ることもないし、見た目のことなんて家族くらいしか言ってくれる人もいない。だから、客観的な意見を聞けてよかったです。逆に勉強になりました。

――見た目への意見を“気づき”に変えるって、すごく前向きだなと思います。とはいえ、不特定多数から意見されることに対して、怒りの感情はわかなかったんでしょうか?

どちらかというと、怒りより「怖い」という感情のほうが大きかったですね。まったく知らない人たちに、これほど注目されているのか……と。

ブログのアクセスも、1日5000件くらいしかなかったのに、スクープされて28万件くらいに増えたんですよ。急だったので「28万人もの方たちが私を見ている……」って、怖かったです(笑)。

――それは普通に怖いですよね(笑)。怖いといえば、いざ美容整形をしようと考えたとき、手術をすることに恐怖や不安はありませんでしたか?

美容整形をしようと考えた直後はそんなに怖くなかったんですが、だんだん自分で手術について調べるうちに、怖くなっていきました。今まで大きな手術はしたことがなかったので、未知の世界すぎて。

――それでも、美容整形の手術を受けられたんですよね。有村さんにとって、手術の恐怖に打ち勝つほどの原動力って、なんだったのでしょうか。

心の底から、思いっきり笑えるようになりたかったんです。それまでは口元が気になって普通に笑顔を作ることができなくて。おもしろいと感じたときに爆笑はできるんですけど、口元を手で隠しちゃったり、人と喋っているだけでも「私の口元、変じゃないかな?」と不安になったりしていました。

そういう経験の中で、このままでいるのは悔しいな、もっと普通になりたい。もっと普通に笑ったり普通に友だちを作ったり普通に仕事したり……普通になりたいのになんでできないんだろう。そんなふうにずっと悩み続けていたんです。

どこかで変わらないとずっとこのままだろうし、なんとかしたい。とにかくやってみよう、という思いで、美容整形を決意しました。

■整形後に変わったのは、見た目より内面

――いざ美容整形を受けたあと、鏡を見てどんな気持ちになりましたか?

「思った通りになってる!」と感動しました。手術前、骨の3D画像で手術後のイメージを伝えられていたんですけど、骨だけじゃあまりピンときていなくて。でも、自分の理想通りになっていたのでうれしかったです。

――整形前後で、心境の変化はありましたか?

すごく心が楽になりました。家族や友だちからも「明るくなってよかった」「前は表情が暗かったから心配してた」と言ってもらえて、見た目以上に心の部分が変わったと思います。

それに整形前は、人に撮ってもらった写真に納得がいかないことがあったりして、「私、盛れてないな」と思うことが多かったんです。自撮りをして、さらにアプリで加工して完璧に仕上げた写真だけをSNSにアップするようにしていて。でも、整形後は加工しなくてもそのまま載せられるようになりました。

――整形されてから、髪型やメイクの雰囲気も変わったように見えます。

そうですね。メイクでいえば、それまであまり濃い色のリップを塗らなかったんです。口元が余計に目立っちゃうから、いつも薄い色ばかりで。でも整形後は、赤い色や濃いピンク色も選ぶようになりました。

あとは、今まではずっと髪を伸ばして輪郭を隠していたんですが、新しい髪型に挑戦したくなったのでばっさり短く切ってみました!

ファッションも、スキニーデニムを穿いたり、今まで着たことのない系統のファッションに挑戦してみたいです。自分の似合う・似合わないを探したいですね。

■笑顔でいられる方法を、自分自身で選んでほしい

――有村さんは今までずっと外見のコンプレックスに悩まれていたとのことですが、それでも「コンプレックスがあってよかった」と思うことはありましたか?

自分にコンプレックスがあることを包み隠さずSNSで発信していたことで、同じような気持ちの女の子たちからたくさんコメントをいただいたんです。「私だけじゃなかったんですね」「同じように思っている人がいて安心しました」「勇気をもらえました」とか。

そういうふうに、同じコンプレックスを持っている女の子たちに想いを共有できたのはうれしかったですね。

――コンプレックスがまったくない女の子ってあまりいないと思うので、有村さんのSNSでの発信や行動は、たくさんの女の子たちの希望になったのではないでしょうか。

そうだったらいいんですけど……(笑)。でも、見た目にコンプレックスを持つすべての女の子に美容整形をおすすめしたいかと聞かれたら、そういうわけではないです。

かわいくなるためにはいろんな選択肢があって、その中のひとつが美容整形だというだけなので。ほかにもメイクや髪型で工夫するとか、選択肢はたくさんありますよね。

たくさん悩んで、悩んで、何を選択するかを決めてほしいです。結局は、考えるのも行動するのも自分自身なので。

――たしかにそうですね。有村さんも、自分自身でたくさん悩んで「美容整形」という選択をしたからこそ、今すごく自信を持って笑顔でいられているのかなと感じます。

ありがとうございます。私、とにかく女の子は笑顔が大事だなと思っているんです。笑顔でキラキラしている女の子って素敵ですし、そういう子のまわりには人がいっぱい集まってきますよね。

だから、どんなコンプレックスを抱えていようと「自分が笑顔になれる方法」を探すことが大事なんじゃないかな。

取材中も、ずっと楽しそうに笑っていた有村藍里さん。「整形してもまだまだコンプレックスは尽きないんです(笑)」と話していたが、そんなふうには微塵も感じさせない笑顔がまぶしかった。

外見以上に内面を変えることができたのは、彼女自身の「心から笑えるようになりたい」という強い思いと、行動力があったからこそ。そうやって笑顔になれたとき、初めてコンプレックスが“愛すべきもの”になるのかもしれない。

有村藍里フォトエッセイ『1mmでも可愛くなりたい。』

引きこもりがちだった思春期、デビューして苦悩する日々、事務所独立、改名、「美容整形」という決断――。有村藍里が自身の「これまで」と「これから」をすべて語り尽くした、一歩を踏み出す勇気が詰まった初のフォトエッセイ。

(取材・文:高橋千里/マイナビウーマン編集部、撮影:大嶋千尋)

有村藍里が整形をして「愛せるようになったもの」