「イクメン」と言う言葉が世の中に定着しつつある昨今、「我こそはイクメンである!」と自信を持って挙手できる男性も増えてきたように思います。

夫婦で協力しあい、助け合いながら我が子を育てていくことは、とても素晴らしいこと。しかし、「自分は育児に協力、参加している」と自負している男性陣を白けた目で見ている女性陣も多いようです。

手伝っている「つもり」の夫

A子さん(32歳)は、最近とうとう「ほとんど何もしてくれない」夫にキレてしまったのだそうです。「でも、主人が発した言葉はなんと『何をそんなに不満なんだ。俺だってちゃんと手伝ってるじゃないか』だったんです。開いた口がふさがらないとはこのことでした」

当初、生後1ヶ月の男の子のお風呂は夫の担当。仕事から帰ったら夫が子どもをお風呂に入れている間にA子さんが下ごしらえしておいた夕飯を作る…という段取りでした。また、金曜・土曜など休みの前の日、夜泣きした子どもにミルクを与えるのも夫の担当。「子育てはいろいろ大変、ってネットでもよく目にしてたからさ。ふたりの子どもなんだし、ふたりで協力しようよ」と言ってくれた夫に、Aさんは頼もしさを感じていたそうです。

しかし出産後、いざ蓋を開けて見ると、事態はA子さんが産前に思い描いていたものとは大きく異なったのです。「仕事が忙しくなったとかで、主人の帰宅はほぼ毎日22時近く。そんな時間から子どもをお風呂に入れるのは難しいですよね。そして、週末には会社の人たちと飲みに行き、酔っぱらって帰ってきて、子どもの夜泣きにも気付かずいびきをかいて熟睡」

それならせめて土曜日くらいは…と夜泣きの子どもの対応をお願いすると15分もたたないうちにギブアップ。「いやぁ、やっぱりこの子はママじゃないとダメなんだわ」と言って、バトンタッチを要求してくるのです。

日曜に少し睡眠をとったり溜まっている家事を片づけたいから子守りをお願いすると
「いいけど〇時には散髪の予約取ってるから、1時間くらいなら大丈夫」とか「ごめん!日曜は同僚と釣りに行く約束しちゃって」と断る始末。

「先週はゴルフだったじゃない」と夫を責めると「じゃあ、〇日は空けといて、って事前に教えてよ。そしたらなるべく予定いれないようにするから」という返答。「事前に空けてほしい日を伝えろって…そんなの毎週に決まってるじゃないですかね」とA子さんは呆れたように呟きました。このような不満が積もり積もってついにA子さんは爆発。しかし、夫は「手伝えるときは手伝っているのに…」という態度だったのだそうです。

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「協力できるときは」と「ママじゃなきゃダメだね」

A子さんの夫は、何度もしきりに「いや、でも協力できるときはしてたでしょ?」と発言していたのだそう。「協力できるときは…」。ここに大きな温度差の原因があるのではないのか?と筆者は考えます。

つまり、夫側は「協力したい気持ちはあるが時間がなかなか取れない。でも、家にいるときはできることはしているはず」という意見。それに対して妻は「まず、一緒に子育てする時間を確保しようと努力してくれることが大事。時間が空いて暇なときや、気が向いたときだけ子育てを手伝うのは、あまりにも自己中心的すぎる」という意見なのです。

また、男性陣がよく口にする言葉「ママじゃないとダメみたい」、これも女性陣には不評です。今まで散々夜泣きしていた子どもが、ママが抱っこした途端にぴたりと泣きやむ…そんな魔法みたいなことは起こりません。それが可能なら、子育ては随分と楽になるはず。

現実はそうではありません。世の中のママたちは、泣き続ける我が子が泣きやむまでずっと抱っこし続けている…ただそれだけなのです。泣いてる子どもにミルクを与え、おむつを換え、それでも泣きやまなければずっと抱っこしてあやして…。

ようやく泣きやんでくれた…と布団に赤ちゃんを降ろすと、パパの「やっぱりママじゃないとダメなんだなぁ。俺が抱っこしていてもずっと泣いてるもん」という呑気なひと言にカチンときた経験がある…という方も多いのではないでしょうか?

「協力できるときは」「ママじゃなきゃダメ」。このふたつはママの怒りを買う地雷ワードだと心得ておいた方がいいでしょう。

協力しようとする姿勢を見せてほしい

「子どもに手がかかるうちはすべて子育て優先にして欲しい、とは言っていません」とA子さん。「ただ、ほんの少しでも『頑張ってるな』と感じる瞬間があれば、『あまり手伝えなくてごめんな』というひと言があれば、私もこんなに怒っていなかったと思います。腹が立ったのは、夫が『育児に参加しているつもり』になっていたことなんです」

大切なことは「協力しようとする姿勢を見せること」。夫婦間の子育て協力に関する温度差を埋めるためには、まずここからはじめることが大切なのかもしれません。