「町中華」とは、誰もが一度は訪れたことがあるであろう、いわゆる“町の中華屋さん”。

 少しくたびれた暖簾をくぐれば、お世辞にもキレイとはいえない店内。新聞を読みながら中華そばをすする常連さん。節操なく提供されるオムライスカツ丼。そんな、懐かしさのにおい立つ原風景が広がる。

中華
※画像はイメージです
 そんな町中華が今、密かなブームになっているという。聞けば、町中華をテーマにした数々の書籍やテレビ番組が制作され、お店には若いカップルや女性の一人客が来店することも多いという。

 なぜ新たな時代「令和」を迎えた今、昭和の産物ともいえる町中華に注目が集まっているのか……!? 今回は、そんな町中華の魅力を、町中華愛好家たちに語ってもらった。

町中華ブームの発祥は大阪なんです!

はんつ遠藤
はんつ遠藤氏。’66年、東京都生まれ。海外旅行雑誌のライターから、各メディアでの飲食店紹介や飲食店プロデュースを行うフードジャーナリストに転身。取材軒数は9000軒を超える。近年は料理研究家としても活躍
 さまざまなグルメに精通するはんつ遠藤氏。彼いわく、町中華ブームの起源は大阪にあるという。

「ある時代からラーメン好きたちが普通のラーメンに飽きて、食堂系を開拓するようになったんです。それから“黄そば”っていう中華麺のブームが起こって、それが町中華ブームに変わっていった、という流れですね」

 大阪発の町中華ブームは、いまや全国に広がり「町中華」という言葉も一般的になった。

「町中華を突き詰めていくと『日高屋』になるんです(笑)ハーフサイズとかよく研究していると思いますよ。だからあそこまで成功できたんじゃないですかね」

 フードジャーナリストならではの鋭い分析だ。いろいろなメニューを低価格で楽しめる町中華こそ、日本人DNAが求める飲食サービスの一つの究極型なのかもしれない。

 東京出身のはんつ氏が子供の頃から祖父と通っていたというお店が銀座にある「中華三原」。タンメンが人気とのことで、変わらぬ味が銀座のサラリーマンたちの胃袋を支えている。そして、もう一店が有楽町の「交通飯店」。こちらも子供の頃から通う馴染みのお店ということで、オススメは炒飯。お昼時には混雑必至の人気店だ。

 また、上野にある「昇龍」では“町中華でトップクラス”というレバニラ炒めビールとともに流し込む。「ここは赤星(サッポロラガービール)を置いてるのがいいんですよね」と、はんつ氏は語る。町中華には瓶ビールがよく似合う。

はんつ遠藤氏のオススメ町中華店
【上野「昇竜」のレバニラ炒め(670円)】

遠藤氏いわく、ここよりおいしいレバニラ炒めは知らない

ドラマが教えてくれた町中華の世界

小宮山雄飛
小宮山雄飛氏。’73年、東京都生まれ。ホフディランのVo&Key担当。ミュージシャンのかたわらグルメにも精通し、雑誌の連載やカレーレシピ本を出版するなど活躍。地元渋谷区では観光大使も務める
 高校生の頃から学校帰りに町中華へ通い、今でも町中華で一杯やることが多いというホフディラン小宮山雄飛氏。通うキッカケは、あるドラマだったという。

TBS系ドラマスクールウォーズ』で梅宮辰夫和田アキ子がやっていた町中華の店が、僕の中にインプットされてるんですよ。あと、長渕剛と志穂美悦子の『親子ゲーム』のあのお店。あれが僕の原風景なんです」

 テレビで見た“古きよき町中華”に憧れた小宮山少年は、いつしか自分も町中華の常連となっていったという。ミュージシャンという仕事柄、地方へ行くことの多い小宮山氏は、その土地でも町中華に足を運ぶ。

「地元の人は町中華にいますから。そこから、その人たちの生活が垣間見えるんです」。そんな人間ウオッチングも楽しみのひとつ。

 そんな小宮山氏のオススメの店は、音楽仲間らとよく行く下北沢「珉亭」。かつて甲本ヒロト氏がアルバイトをしていたことでも知られる、ミュージシャンに愛される人気店だ。チャーシューの色が移ったピンク色の炒飯がオススメだ。

 そしてもう一軒、大崎広小路にある「平和軒」は、小宮山氏が店選びのポイントとして挙げる「小上がりがある店」。気の置けない友人と、小上がりでだべるのが好きなのだそうで、ここの店主はご高齢のため「この記事を読んだら今すぐに行っていただきたい」とのこと。あとは野毛にある「大来」は土地柄、のんべえの客が多い。野菜炒めをつまみにビールを飲み、タンメンでシメるのがいつものコースとのこと。

ホフディラン小宮山雄飛氏のオススメ町中華店
下北沢「珉亭」の江戸っ子ラーメン(650円)】

キムチがのった江戸っ子ラーメンピンク色の炒飯が絶品

【週刊SPA!編集部】



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