AIの著しい進化で、人間の仕事が奪われるのではないかと恐れる声は少なくありません。しかし、AIによって人間が悩んだり、余計なことを考えたりしなくなれば、心身とも健康になり、日々の生活は今よりずっと豊かになるでしょう。その先には、恐れを凌駕する世界が待っているかもしれません。


原始的に生きる未来

AIによって悩みから開放された人間は、原始的な生き方を好むようになるかもしれません。時間に縛られず、日が昇るのとともに目を覚まし、日が眠りにつく。食べたい時に食べたいものを食べ、行きたい場所にいつでも行ける。気の向くままの暮らしが可能になるでしょう。ネットを介したコミュニケーションもVRを使ってあたかも直に会って話しているようになり、家から出る頻度は減るかもしれません。移動や情報のやり取りにコストが掛からなくなれば、お金を使う概念も大きく変わるでしょう。

ビジネスモデルもAIが開発

そんな世界で人間が生きるのに問われるのは、AIを自在に使いこなせるか否かでしょう。「機械ばかりに頼るなんてダメだ」「大事なことは自分自身で考えてこそ意味がある」といった価値観が美徳とされる時代は、AI全盛の世の中においては通じなくなるでしょう。AIが経営戦略やビジネスモデルの開発、ビジネスデザインやブランディングといった作業をこなしてしまう世界になるのです。人間は、AIが提示した方法の中から、適切なものを決断することが仕事になります。

のび太はAIマスター?

AIドラえもんに置き換えるとわかりやすいでしょう。悩み事を抱えたのび太くんが「ドラえも〜ん!」と躊躇なく飛びつくと、ドラえもんはそれを解決するのに適切なひみつ道具四次元ポケットから取り出して、サポートしてくれます。それを手にしたのび太くんがひみつ道具を正しく使いこなせば、宿題は素早く片付くし、ジャイアンスネ夫にも勝てるのです。

AIに素直になれるか

残念ながらマンガの中ののび太くんは、最初こそ道具を使いこなすも、調子に乗って暴走してしまうというオチが付いてしまうことがお決まりです。でも、現実のAIのサポートを私たちが器用に使いこなせれば、そうした失敗に陥ることもなく、人間の能力を拡張してくれる頼もしい存在になるに違いありません。要は、そのテクノロジーを使えるか使えないかではなく、「生活を豊かにしたい」とAIに対して素直に向かい合うことが、一流のAIマスターへの入り口なのです。

参考書籍:吉角裕一朗著「『まだない仕事』で稼ぐ方法」 (ワニ・プラス刊)

足立謙二 ライター。時事通信社記者を経てフリー。WEBニュース、雑誌などに執筆。得意ジャンルは昭和カルチャーから特撮、最新アニメまで幅広く偏り気味に。

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