京都国際映画祭2019は10月20日、没後90年・牧野省三が製作総指揮した映画黎明期の傑作「雄呂血」の活弁つき上映、中島貞夫監督によるチャンバラ演出の披露でクライマックスを迎えた。中島監督は、あらためて"日本映画の父"に敬意を示すとともに、「京都には映画づくりの歴史が脈々と受け継がれてきた。皆さんのお力でもう1回盛り上げてほしい」と呼びかけた。

牧野の功績を現代に伝える「雄呂血」は1925年に公開、日本に剣戟(げき)映画ブームを起こした記念碑的作品。阪東妻三郎の独立プロダクション第1作。ラストの鬼気迫る大立ち回りは圧巻だ。

80分に及ぶ無声映画で、この日、現役最高齢81歳の活動弁士・井上陽一氏が挑み、和洋楽団とともに渾身の名調子を響かせた。約100年前と同じ映画の感動がよみがえり、劇場が大喝采に包まれた。

また、中島監督が演出し、吉本ちゃんばらパフォーマー&東映剣会が迫力の殺陣を披露。牧野から現在まで京都の撮影所に継承される時代劇の素晴らしさを伝えた。また、中島監督は「牧野省三さんは"1スジ、2ヌケ、3ドウサ"という現代でも映画をつくる上で非常に的確な名言を残した。俳優さんもたくさん育てた」と解説。時代劇に限らず、牧野が日本映画史に果たした功績は計り知れない。

京都国際映画祭2019は、牧野の没後90年特集が組まれ、最古の「忠臣蔵」や「豪傑児雷也」「雷電」などの監督作をはじめ、関連作品が上映された好評だった。無事に全日程を走り終え、映画祭の名誉実行委員長を務める中島監督は「また来年ここで会いましょう」と呼びかけた。

活弁つき上映で閉幕