赤ちゃん・保育器(Ondrooo/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

発生の確率は部位によりまちまちだが、赤ちゃんが体の一部に奇形を伴って生まれることがある。その特に珍しいものとして挙げられるのが、このたび紹介する「陰茎欠損症」だ。

■極めて稀な「陰茎欠損症」

トルコのコンヤにあるネジメッティン・エルバカン大学付属病院で、このほど極めて珍しい「陰茎欠損症」の男の赤ちゃんが誕生した。

早い話がペニスを持たずに生まれたというその男の子。2つの睾丸があるものの陰茎は根部から欠損しており、いわゆる小陰茎症(マイクロペニスとも)と呼ばれるものとも異なるという。

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■1,000〜3,000万人に1人

陰茎欠損症の発生の確率について、「男児1,000万〜3,000万人につき1人と非常に稀な奇形です」と説明する主治医

世界の学術誌系電子ジャーナルが閲覧できる『サイエンスダイレクト(Science Direct)』を確認しても、この陰茎欠損症は世界でわずか80例ほどしか報告されていないそうだ。

また、この赤ちゃんの股間には女性性器らしきものが確認できず、腹部超音波でも内性器の存在は認められなかった。さらに正常な精嚢と2つの睾丸があることから、この赤ちゃんは男の子とみなすべきだという。

■早急に解決すべきほかの問題

現在その赤ちゃんが陰茎欠損のほかに抱えている問題は、膀胱と直腸がつながっている「膀胱直腸瘻(ぼうこうちょくちょうろう)」、そして排尿時に膀胱から尿道へと流れていくべき尿が上の尿管や腎臓に逆流する「膀胱尿管逆流」だ。

英国バーミンガムの泌尿器科医はそのあたりについて、「胎児は母親のお腹のなかで、それまで1本だった『総排泄腔(そうはいせつくう)』が胎生6週には膀胱と直腸とに分割されます。それがうまく行かなかったのでしょう」と説明している。

■いずれは人工陰茎形成手術も

しかし膀胱直腸瘻、そして膀胱尿管逆流の問題は外科的手術により解決できるとのこと。尿や便それぞれが正しいルートでスムーズに排泄されるようになれば、健康な子供となんら変わらなくなるという。

また男性機能の問題として、この赤ちゃんにはいずれ人工陰茎(バイオニック・ペニスとも)の形成手術が検討されるであろうという。すでに技術はかなり進歩しており、ロンドンのユニバーシティ・カレッジ病院で人工陰茎形成手術を受けた40代男性は勃起や射精も可能。

術後6週間で女性とロマンチックな性生活を楽しむようになったという。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

世界で報告わずか80例の奇形 ペニスを持たない男児が誕生