Credit: Anglia Ruskin University

Point

■rosy-tipped earthwormと呼ばれる品種のミミズの体重が、マイクロプラスチックを含む土の影響で減少することが判明

■地中のマイクロプラスチックの何がミミズの体重減少をもたらしているのかは、現時点で不明

■地中の栄養分を増やす役割を持つミミズに悪影響が出れば、農業にも影響が出る

英アングリア・ラスキン大学の研究チームが行った最近の研究で、地中に含まれるマイクロプラスチックがミミズの一種に害を与えていることが示されました。

このrosy-tipped earthwormと呼ばれる品種のミミズマイクロプラスチックの影響で体重が減ってしまうのだそう。論文は、雑誌「Environmental Science & Technology」に近く掲載される予定です。

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ミミズは、地中の栄養分を増やすという農業上の重要な役割を担っています。つまり、これは最新型のプラスチック汚染であり、農家にとっては頭の痛いニュース以外の何物でもないのです。

研究チームは、レジ袋やペットボトルに使用されている高密度ポリエチレンと呼ばれるプラスチックを含む土の中にミミズを入れると、1ヶ月間で体重が3%減少することを発見しました。これに対して、高密度ポリエチレンを含まない土に入れたミミズは、同じ期間で体重が5%増加しました。

現時点では、地中のマイクロプラスチックの何がミミズの体重減少をもたらしているのかは不明とのこと。

プラスチック汚染は海だけでなく、大気中や地中でも起きています。現在、世界各地の飲食店でプラスチック製ストローを紙製に切り替えるなどのプラスチックの使用量削減の動きが起きており、中にはオーストラリアのように使い捨てレジ袋の使用を一切禁止している国もあります。

日本でも、早ければ来年4月にはレジ袋の有料化が導入される予定ですが、使用そのものの禁止にまでは踏み込んでおらず、世界の潮流に決定的な遅れを取っている状態です。

私たちが無配慮に消費したプラスチックは海・空・大地に流れ、やがてその水と空気、そしてその中で育った生物を享受する人間の身体へと必ず帰ってきます。体重が3%減少したミミズに対し、人体には一体どんな現象が起きるのでしょうか。考えるだけで恐ろしいことです。

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情けは人の為ならず」という言葉のごとく、自然を回復するために人間が取る行動もまた、回り回っていずれは人間に帰ってきます。「マイバッグを持ち歩く」といったほんの少しの不便さと引き換えに手に入るメリットは、計り知れないほどに大きいものに違いありません。

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reference: bbc / written by まりえってぃ
地中のマイクロプラスチックでミミズの体重が減少、農業へ悪影響が?