■ 今どきの若者がどう恋を成就させるか。やすともの歯に衣着せぬトークが嬉しい 

「関連記事」からアーカイブをチェック!

 4年ほど前、あるメディアから「若者の恋愛ドラマ離れ」というテーマで取材を受けた。しばし考えた。困ったときは教え子頼みだ。大学のゼミ生たちに、どうして最近恋愛モノを見ないのか?、その理由を聞いてみた。

 答えは単純明快だった。「私たちが、恋愛ドラマに興味がなくなったのではなく、魅力的なストーリーが減ってるんです」なるほど、そういうことか!とすっきりして取材に応じたのだった。そこからしばらくして生まれたのが、新垣結衣星野源が契約結婚による夫婦を演じた「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年・TBS系)だった。一世を風靡したのはみなさんよくご存じのところだ。いつの時代であれ、人は胸をときめかせ、苦しいほどの恋をしたいと思っているはず。ただ、自らの感情を表に出したり、一歩踏み出すことが苦手な若者が増えているのもまた事実だろう。

 「やすともの恋愛島」(ABCテレビ)。10月6日にスタートした恋愛ドキュメントバラエティーだ。ABCテレビは、古くからこの種のジャンルを得意としている。初めて出会った男女4人づつの若者が、無人島で3泊4日の共同生活をする中で、カップル誕生となるかどうかを、スタジオにいる海原やすよともこ、高橋ユウ、大倉士門、トットらが、ワイワイと見守っていく。

 「無人島モノ」は、海外でのヒット番組がいくつかある。長期にわたる撮影をシビアに行っているものもある。「恋愛島」は期間が短いこともあり、さほどハードなテイストにはならないだろうが、「逆境に弱い」と言われがちな今どきの若者たちが、ミッションをどう乗り越え恋を成就させるか、楽しみに見ている。

 やすともの歯に衣着せぬトークがいい。無人島で彼らが心にもない綺麗ごとを並べたりすれば、たちまち愛あるツッコミが飛ぶ。関西テイストが嬉しい。

【著者プロフィール】影山貴彦(かげやまたかひこ)同志社女子大学 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(実業之日本社)、「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。(関西ウォーカー・関西ウォーカー)

元毎日放送プロデューサーの影山教授