自国開催となった世界三大スポーツの祭典の一つ、ラグビーワールドカップ。日本ラグビーは史上初のベスト8進出。20日、強豪南アフリカと対戦し、3-26で惜敗しました。ワントライを許す事もなく日本に勝利した南アフリカの強さが目立ちましたが、日本はその粘りでもう一歩でトライという場面を何回も見せ、彼らの渾身のプレーに、試合場からもツイッター上からも賛辞の声であふれかえっていました。

SNS上では「にわかファン」を自称し、「にわかだけど感動した」という旨のツイートが散見。僕はラグビー経験者だった身から思うのですが、「にわか大歓迎」です。

「誰でも最初にわか」です。

むしろ、どんどん「知ったか」で語って頂きたい。分析して頂きたい。臆する事なく。もし、古参ファンがそういった「にわか」の声を排除するようなら、そのジャンルは衰退します。タコツボ化になるという事です。

ラグビー以外のジャンルはどうでしょう。サッカー経験者でなくとも、野球経験者でなくとも、皆でわいわい語り、酒を酌み交わしているではないですか。それで良いのです。「カープ女子」でもないのに広島を熱く語るのもアリだと思います。

ところで、ラグビーもテレビ番組がやたらと「ジャッカル」を推してきました。要するに、タックルをされ、倒れた敵チームはボールを離さなければならないので、そのボール奪う行為を「ジャッカル」と呼び、敵ボールから一気に味方ボールにするという、野球で言う逆転ヒットを打つようなプレイです。確かにフォワードビッグプレイ、見せ場の一つです。「ジャッカル」という響きが良かったのでしょう。ワイドショーなど軒並み、「ジャッカル」について解説。

が、むしろラグビーの醍醐味でもあり、これが出来なければプレーヤーとして成立しない「タックル」を掘り下げて解説した方が良いのでは、と個人的には思っていました。テレビっぽいなと思いつつ、僕の周囲でも「ジャッカルだけは分かった」という声が聞こえてきます。それでも良いのです。初めは「日本代表、ジャッカル良かったよね」という事から入るのもアリです。

老若男女、分け隔てなくゲートを開けて初見の人も迎え入れてあげるという事です。いや、「迎え入れる」という言い方すら傲慢かも知れません。「迎え入れる」方も「最初はにわか」だったのですから。

参考記事:おのののか、ラグビーファンは「にわか」を受け入れてくれると感激 にわかを叩く競技って、どれのこと? | TABLO

僕たちのような経験者でも、例えば「スターティングメンバー誰がいい?」で意見は異なります。「縦(突破)に強い●●でしょ」「足遅くない?」「ハーフは●●にした方が良いよね」「いや。違うでしょ。テンポがずれるでしょ」という会話が交わされます。

テレビ解説もそうです。アナウンサーが「フォワードの今のは何の反則でしょうか」という問いに「私はバックスなので分からないのですが……」と答える解説者。その解説者だって大学ラグビーで鳴らし日本代表にまでなっている選手たちです。超一流の選手だって分かり辛いのですから、未経験者が分からなくて当然です。

だから語ってはいけない? そんな事はない訳です。分からなくても自由に語って良いのです。

「感動した」人はルールが分からなくても「何かグラウンドでスゴイ事が起きている」事は感じとっています。それで良いのです。そこから始まるのです。単純に、

・190cm90kgの選手が100m11秒のスピードで突進してくる

・180cm100kgの選手が一つのボールを奪い合う

・100m11秒で何人もの選手を抜き去る

・そしてそんな超人たちに逃げる事なくタックルで挑む

それだけで「凄い」とは思いませんか? 多分「にわか」と呼ばれるファンの人たちもその迫力に魅了されていったのでしょう。それで良いのです、初めは。

にわかファンの皆さん、臆する事なく会社で、仕事場で、学校で、大いに知ったかぶりをしてください。語って下さい。そしていつしか、貴方が「通」になって新しい「にわかファン」が現れた時、温かく迎えてあげて下さい。(文◎久田将義)

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初めは誰でも「にわか」(撮影◎編集部)