中国では若者たちの起業意欲は非常に高い。中国企業の「寿命」は非常に短いとされ、多くの企業が消える一方で、若者たちは失敗を恐れずに続々と起業している。そして、競争を勝ち抜いた生き残りのなかには、極めて大きな価値を持つようになった企業も存在する。

 中国メディアの百家号は20日、日本と中国の「ユニコーン企業」の数を比較すると、「中国が日本を圧倒している」と伝えつつ、なぜ日本からはユニコーン企業が生まれにくいのかと問いかける記事を掲載した。

 ユニコーン企業とは、創業から10年以内の未上場企業で、なおかつ評価額が1000億円以上の企業を指す。記事は、米国メディアの統計を引用し、「2019年時点で世界には390社のユニコーンが存在する」と伝え、うち米国企業は191社、中国企業は96社であったと紹介する一方、日本にはたったの3社しかなかったと強調。

 さらに、日本の3社という数はインドの19社、韓国の9社より少なく、インドネシアの4社すら下回ったと指摘し、評価額が100億ドル(1兆円)を超えるような「スーパーユニコーン」とされるスタートアップ企業は、米国には12社、中国には7社も存在するのに、日本には1社も存在しないと伝えた。

 続けて、日本と中国のユニコーン企業の数に圧倒的な差がある理由について、中国は日本に比べて起業家が資金を調達しやすい環境にあるうえ、2014年から15年にかけてIT分野での起業ブームが起き、このブームで誕生し、生き残ったスタートアップが現在ユニコーンとなっていると紹介。

 一方で、日本ではスタートアップに投資するベンチャーキャピタルですら「製品やサービスがどれだけイノベーティブで、どれだけの可能性があるかという点よりも、企業の評判やブランド、起業家のキャリアをより重視する傾向にある」と指摘し、日本のベンチャーキャピタルは中国に比べて保守的だと強調。日本のベンチャー企業やスタートアップへの投資額は米国や中国に比べて少額で、この金額の差がユニコーン企業の数の差に直結している可能性を指摘した。

 また記事は、日本では起業するうえでのコストが欧米や中国に比べて大きいにも関わらず、企業することによるメリットが中国や米国に比べて小さいと強調。英国や米国では起業にかかるコストは国民の平均収入の0.1%から1%ほどと安価であるのに対し、日本では7%を超えていると指摘したほか、米国や中国では創業者が一般社員の100倍以上の給与をもらってもおかしくないが、日本ではせいぜい数倍程度だと伝え、「中国の起業家は事業に失敗しても元の生活に戻るだけなのに対し、日本では起業に対するリスクに対してリターンが小さすぎる」と指摘し、こうした環境が日本からユニコーンが生まれにくくしているのではないかと主張した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

中国は96社、日本はたった3社、日本はなぜユニコーン企業が少ないのか=中国メディア